2014年8月10日日曜日

「平成百人一句鑑賞のための自信作」余録・・・



外は台風11号の影響で時折り激しい雨が降っている。風も少し強い。
昨日は、第32回現代俳句新人賞の選考委員会が開かれた。その台風に追われるように三重県から橋本輝久委員も上京されていた。選考委員は7名(浦川聡子・大井恒行・佐怒賀正美・鈴木明・対馬康子・橋本輝久・林桂)。
例年になく長時間の選考委員会となったが、結果は近日中に現代俳句協会から発表されるだろうから、それを待ちたい。
現代俳句協会主催の新人賞だが、応募は協会内外に開かれているので、このところ協会員以外の方々からの応募も多くなっており、今回は43編中24編が協会員外で、ついに応募の半数以上を協会員以外の方が占めた。もちろん、無記名の選考が行われていて、最後に受賞者があきらかになるのだが、中には日ごろからいい作品を作って注目している俳人もいる。しかし、文字通り、新人らしい、力技を引っさげての応募者となるとなかなか難しい。選考委員の方も、愚生も含めて、つい俳句らしい俳句の方へ、安全な選句をしてしまいがちなのである。
今回も応募作品はおおむね表現レベルが確保された無難な、いわば、安心して読める応募作が多かったが、今回もまた、初回の予選10篇を選ぶ際に選考委員全員7名が残した応募作は、論議の最初で、沈んだ。例えば句会でいえば、10句選の十番目に選んだ句が全員いて、高点句になった、というようなものである。
さて、愚生は、表題の「平成百人一句鑑賞のための自信作5句」の続編を「ブログ俳句空間」に不定期に連載しているのだが、余録として、今回はこの「日日彼是」に原稿の写真を、当時のいわゆる俳壇において、新人中の新人だった攝津幸彦、田中裕明を載せておきたい。

句は、

・攝津幸彦

立ち上がり皇国(すめら)乙女となりしかな   「俳句研究」平成2年3月号
厠出て小さきをみな青葉せり           「俳句」 〃   5月号
傘さして馬酔木見し人隠さるる           〃
日輪もスープもさびし青あらし           「豈」90年春号
簾して仔牛の肉を叱りたり               〃

「日輪もスープもさびし青あらし」の一句鑑賞者は仙田洋子。

・田中裕明

楪に筆のはやさと眼の速さ          「青」平成2年3月号
春氷からの鞄を持つて出て            〃      5月号
空港で鞄にすはるチューリップ          〃      6月号
夏鶯道のをはりは梯子かな           〃      7月号
さみだれは赤子の髪に細かかり             〃      

「夏鶯道のをはりの梯子かな」の一句鑑賞者は、はらだかおる。  

                                        アゼリア↑


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