2014年8月31日日曜日
大本義幸「老犬がひく老人暮れてゆく」(俳句新空間NO.2)・・・
「俳句新空間」NO.2(豈の会発行・発行編集人,北川美美・筑紫磐井)が発行された。「この冊子の試みは、『インターネットと雑誌の合体』であり先行掲出のブログ記事を元に編集発行するスタイル。句帖転載者には一冊贈呈、作品集出品者は冊子をご購入いただき印刷・運営費とした」と後記に記されている(問い合わせはsengohaiku@gmail.comまで)。作品集出品者の句は「夏行帖」として掲載されている(21名)。
他には前号NO.1の掲載句の鑑賞(小野裕三・北川美美・筑紫磐井・網野月を)、そして、今年の俳句帖(歳旦・春興・花鳥編)が収録されている。
以下に他に紛れない独特の夏行帖作品を寄せている大本義幸のほか「豈」同人を中心に数名の愚生好みの作品をあげておこう。
高田渡的貧しい月が出ている 大本義幸
死んでみたいとたんぽぽがほざく夕暮だ 〃
老犬がひく老人暮れてゆく 〃
落暉いま花野の芯をめざしけり 秦 夕美
夏木立ルソーを蒼くぬってみる 神山姫余
神の来る沖から虎列刺なども来し 仲 寒蟬
よしきりを訪ね新聞休刊日 神谷 波
太陽のちぎれて八月十五日 関根かな
ぼうたんの揺るるは虐殺プロトコル 真矢ひろみ
敗戦記念日産土に挿す黒き傘 〃
昼顔に目覚めて口のにがきかな 中西夕紀
行基上人開祖紫陽花女坂 堀本 吟
老木が芽吹く病棟精神科 福田葉子
花吹雪降りしはじめは母の灰 高橋修宏
廃炉より蛹の如き呼吸音 〃
桃熟す家の中まで被爆して 〃
弾力や網戸にあたる我が頭 北川美美
徹頭徹尾人殺されし夏芝居 堀田季何
見渡せば花ももみぢもなかりけり 浦のとまやの秋のゆふぐれ
TOKYOや海市となりて流れ寄り 夏木 久
八月六日骨格に沿ふ汗滂沱 筑紫磐井
降伏の日に幸せは始まるか 〃
虎列刺しの読み方?
返信削除匿名様
削除コメントありがとうございます。原句は、送り仮名なしの<虎列刺>でした。お詫びして訂正いたします。(因みに<虎列刺>は<コレラ>の当て字と知りました。) /管理人