『実には在れども滅すと言ふ』(不虚舎)は森山光章の8冊目の句集である。他の歌集、小説、詩集、批評集(政治的断章)を加えて、すでに15冊に及ぶ著作がある。個人誌「不虚」を発行。1952年生。第一句集は『眼球呪詛吊變容』(弘栄堂書店)。1990年3月、「俳句空間」新鋭作品欄・第三回新人賞準賞を受賞している。その折りの作品もすでに独特の世界を表現していた。以下に二句、
夜明(よあ)
けの〈否(ひ)
〉・首(くび)
をしめ交感(やさしさ)
に裂(さ)
ける 神(かみ)
〈平和(ちゃばん)
〉の血祭(ちまつ)
りに勃起(ぼっき)
する・生(せい)
の余暇(よか)
今回の句集も森山光章の健在ぶりを示す句集だが、俳句というよりも箴言に近い、と言ってもいいかもしれない。それくらい一句一句の意志の明らかな言語のあしらいという意味である。
[一念三阡]、全ては終わりの言之葉(・・・・・・・傍点あり)
諾(ダー)!
[生死即涅槃]の現在(とき)
、「狗殺し」の喜悦(・・)に痙(そ)
る
[詩]とは、[落ちこぼれながら落とし前をつける]ことである
註・・詩人、平敏功氏の言葉である([]内の落ちこぼれながら・・・)。
後記に言う。「
[一念に億劫の心勞を尽せば]、「魔」は改變し、「諸天」として守護するであろう(・・・・…傍点あり
)。そこには、[死]のみがある」。
余談ながら森山光章の実兄は小説家、精神科医の帚木蓬生。
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