久保東海司は昭和2年11月29日生まれ。句集『風鈴』(文學の森)の奥付の発行日は,久保東海司が米寿を迎える日、本年11月29日となっている。
現在は高橋将夫主宰「槐」同人だが、句歴70年を記念しての上梓とあるから、「槐」を創刊主宰した岡井省二の弟子でもあった。
「まえがき」によると、青年俳句誌「みつばち」をガリ版刷りで発行したのが昭和16年4月のことだという。
申し分ない句歴だが、田村木国の「山茶花」の植原抱芽を選者に迎えて、「みつばち」は72号まで継続したとあった。
昭和16年4月といえば、新興俳句弾圧事件、第4次弾圧により細谷源二が逮捕された昭和16年2月5日の直後でもある。
ところで、愚生は、生前の岡井省二に一度だけだが、お目にかかったことがある。記憶が少しあいまいだが、確か現代俳句協会青年部ができた直後のシンポジウムのパネリストになっていただいたのではなかろうか。その後、『岡井省二の世界-霊性と智慧』 (北宋社)にも執筆の機会をもらい、その縁で現在まで「槐」の恵送をしていただいている。
羽子板の撞き痕のこし世を去りぬ 東海司
囀りのかたまつてゐる大和かな
揺れ易きものには乗らぬ鬼やんま
質草に蚊帳あるむかし初ちちろ
息入れて折鶴翔たす秋の空
天涯に星の私語あり冬木立
結界の石みな佛雪を置く
山眠りかけしを鶴の呼び起こす
シモツケ↑
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