2015年10月4日日曜日
山田航「現代短歌むしめがね」(週刊読書人)・・・
「週刊読書人」の連載で、楽しみに読む記事がある。円満字二郎の「漢字点心」に加えて、8月から始まった山田航「現代短歌むしめがね」だ。現在は「コンピュータ編」とあって、たとえば今号(3109号・10月2日)は「リクナビ」の語が入った短歌である。
愚生は、全くコンピュータの用語に疎いので、いつも感心させられている。用語そのものより、よくも短歌形式の取り入れて詠めるものだというある種の新鮮な驚きが最初に来るのである。俳句でも、こうしたことは読めるはずなのに、愚生の不明からか、とんと見かけたことがない。
今号では、「リクナビ」の短歌が以下のように鑑賞されている。
リクナビをマンガ喫茶で見ていたらさらさらと降り出す夜の雨
永井祐『日本の中でたのしく暮らす』(2012)
リクナビといえば就職サイト。それをマンガ喫茶でみている。ついつい「就職中のネットカフェ難民」という人間像が浮かんでしまう。(中略)
「さらさらと降り出す夜の雨」は、はじめは優しいそぶりをみせながらいつかは激しく打ち付ける豪雨となることを暗示しているのだろうか。(中略)
「リクナビ」を入口に社会へと入っていこうとする。たとえ理不尽で不誠実な世界であろうと。この勇気とも悲しみともつかない不思議な感情を、青春期の終わりに経験したことのある人は少なくないのではないかと思う。
山田航(やまだ・わたる)は1983年札幌生まれ。歌人。「かばん」所属。
★閑話休題
昨日は、レベル21で行われた大高霧海主宰の「風の道」創刊30周年記念祝賀会および大高霧海句集『菜の花の沖』出版記念会に出かけた。
来賓の「無言館」の館長・窪島誠一郎の挨拶の中で、戦時中に疎開していた石巻で、震災直後に展覧会開催をした折のことを語られたことが、とりわけ心に残った。その「無言館」は上田の駅からタクシーに4人で乗れば千円程度で行かれるらしい。そこには戦没画学生たちの過酷な戦時下での、まぎれもない生が刻まれている。
大高霧海、広島出身の前回の句集が『無言館』である。
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