本年4月には「歯車」の前身「風」が創刊されてから60年の節目とあった。11月22日には「歯車」全国大会が開催されるという。表紙には前代表の故・鈴木石夫の句「毛糸編むとは永遠をまさぐることか」が表紙絵ととともに描き込んである。
巻頭の特別作品は前田弘「半可句祭」50句。タイトルの「半可句祭」は、「半可臭い」北海道・東北での「ばからしい」「あほらしい」の当て字だろう。
でで虫のバイキバイキと声をかけ 弘
(バイキバイキ)は馬を後退させるときの掛け声。バックバックがなまったもの)
はんかくさいじじいでごめん狸の子
馬糞風泥んこの子がだはんこく
人間ばんば故郷の駅が消えた
水槽に水のかたまり青水無月
千人針に久長運武秋立ちぬ
雁首をそろえ八月十五日
「歯車」には幾人かの知人がいるが、まずは「豈」同人でもある若き杉本青三郎を初めに幾人か挙げさせていただこう。
すぐ折れる翼ならある蜃気楼 杉本青三郎
むかしむかし手は足であり鶏頭花 〃
誰かが植えた樹でわたしが涼しい 田中いすず
手拍子の整然たるに稲びかり 藤田守啓
稲刈りや田んぼのこれが更衣 青木啓泰
僕が僕であってよかった日のトマト 大坪重治
黒百合やまっさかさまに日傘散る 佐藤弘明
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