2015年12月8日火曜日
柴田雅子選『やさしい芭蕉さんかるた』・・・
『やさしい芭蕉さんかるた』(岩波ブックセンター信山社,3500円)の選者・柴田雅子にはお会いしたことはないが、夫君の柴田信には、かつて愚生が本屋勤めをしていた頃に、大変お世話になった(信山社ブックセンター時代)。
娘が学生時代には、そのお店でアルバイトをさせてもらったこともある。聞くところによると柴田信は80歳半ばに達していると思うが、いまだ現役で神保町古書店街の復活へのさまざまな活動をされているらしい。その奥様が俳句をされており、、かつ教師として俳句の授業も積極的にされていることは聞いていた。
選者・柴田雅子紹介文によると。昭和29年~平成9年は武蔵野女子学院中学・高等学校で教鞭をとられていたようである。惹句には「芭蕉さんの人柄が思い描ける句を晩年十年の句から選びました。成人の方達の集いには勿論ですが、中・高生のかるた大会など楽しみながら日本語遊びができそうです」とある。
選ばれた句は百句。取り札は中七から現代仮名遣い。絵は、イメージを押し付けるので入れない、という。
かるたのなかに入れられていた一覧表には「たのしい問題提起」が出されている。句の読みを巡って諸説ある「田一枚植えて立ち去る柳かな」の句について「植えて」か「植えで」かに触れて、以下のように記されている。
芭蕉の自筆本「おくのほそ道」には「此所の群守故戸部某の此柳みせはやな」とあり、「田一枚植で立去ル柳かな」と続く。「植で」と濁点もあるが、これは濁点ではなく「汚れ」とされている。
自筆本には「故戸部某」となっており、従ってこの執筆は彼の没後(元禄五年六月以後)で、この句もこのこの頃作られた句とも考えられる。ここにあった句に貼り紙をしてこの句に訂正されている。芭蕉にとっては想い入れの強い句のはずだ。
芭蕉さんの気持ちは?
観光地などでも、「芭蕉俳聖かるた」などと称して、様々に売ってはいるが、さすがに、柴田雅子選のかるたは、教育者が選び、子どもたちから大人までが遊びながら、何かを学べる契機になるようにという感触がある。
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