「夢座」はもとをたどれば、紀伊国屋書店新宿ビル地下のカレー店で、月一回店を閉めてカウンターに座れるほどの人数で行われていた句会を出発としている。そのオーナーであった椎名陽子が代表を務め、実務は市川恂々がおもに担って発行されてきた。
毎号の執筆の常連には齋藤愼爾や江里昭彦がいた。
今、椎名陽子が病に倒れ、そのリハビリなどで、大阪に転居し、療養につとめていたが、この度、新体制をもって再出発するとのことで、約1年ぶりに172号が発行されたのだ。
新たに代表の発行人には、渡邉樹音がなり、運営委員に金田冽、照井三余、編集実務に銀(しろがね)畑二を選んでいる。句会はこれまで通り毎月第三土曜日、「夢座」誌は今年より季刊誌として発行するという。
本誌の掲載作品から一人一句を挙げておこう。
風紋は砂の言葉やいわし雲 渡邉樹音
さざんかの許しの庭をたどりけり 佐藤榮市
雪の夜に残りの札は鶴に折る 照井三余
煽れば熾火放っておいても埋火 鴨川らーら
雛壇の裾どこまでも広がりぬ 城名景琳
答案は白紙のままに若葉風 太田 薫
波の華咲く波濤から崩れ落つ 金田 冽
マイナンバー人権までも冬に入る 江良純雄
冬木の芽しづくを月に返しけり 鹿又英一
四万六千日ほのかはるかに秋を曳く 銀 畑二
もどらざる夕べに灯る冬桜 大井恒行
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