2016年4月1日金曜日
木割大雄「春やわが空気と水と和田悟朗」(「かばとまんだらつうしん」第四期1号)・・
「かばとまんだらつうしん」は赤尾兜子の弟子であった木割大雄が、ひたすら、赤尾兜子の資料を集め、師・兜子のことを書き続けている不定期刊の冊子である。
平成11年から始めて通巻39号になるという。久方ぶりの刊行なので、第四期と自称することにしたという。
別巻は「盲母いま盲児を産めり春の暮 兜子」の句を英訳し続け、解釈し続けてきた木割大雄の幼馴染という中田順周が、翻訳し、また翻訳するにあたっての説明書きがある8ページの冊子である。
木割大雄は、昭和43年「俳句研究」4月号に載った司馬遼太郎の〈同学・兜子〉の一文を引いて、司馬遼太郎が『歳華集』序文に「焦げた匂い」と書いたことについて以下のように記す。
音楽漂う岸侵しゆく蛇の飢
広場に裂けた木塩のまわりに塩軋み
というすぐれた作品の中にあの猥雑な播州海浜の烈日を想像するのは私だけの散文的な想像であろうか。
ーー俳壇的に見れば反伝統的な、いわば厄介者であるかもしれないが、しかし芸術の立場から見ればこれほど正統的な歩き方はない。
この司馬遼太郎の一文に兜子はどれほど勇気をもらったことであろうか。くり返し言う。これが昭和四十三年。それから七年のちの五十年に『歳華集』、即ち〈焦げた匂い〉なのだ。
巻末にはいつものことながら木割大雄の句が掲載されている。今号は六十余句のなかから以下に・・・。
追悼
春やわが空気と水と和田悟朗 大雄
赤鳥居雪の駅舎を拝殿に
水を撒く水商売や日脚伸ぶ
訃報とは為す術もなき花便り
むかしにも昔ありけり夏帽子
村野藤吾設計・旧大庄村役場資料展に寄せて
塔屋より海を求めて鰯雲
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