「俳句原点」は口語俳句協会の機関誌である。その「巻頭言」・「口語俳句のエネルギー」に田中陽は言う。
協会の幕を閉じるにあたって、過去17年の「俳句原点」(口語俳句年鑑)17冊のダイジェストを本号に掲げた。
本欄(巻頭言)は金子兜太の「口語の季節」にはじまり西川徹郎「新興俳句の詩精神は死なない」に終わる18編。これだけでも、いわゆる口語俳句の総体が概観できるというものだが、それらを囲繞するエッセーやフォーラム、作品・俳誌両展望によって口語俳句というよりむしろ“現代俳句”のかたち(・・・)
が見えてくるものと確信する。
田中陽が病に倒れ、復帰して口語俳句年鑑は14年版と15年版の合併号となって刊行された。そして、そこに口語俳句協会の解体も宣言されているのだ。田中陽にもいささかの無念はあろう。だが、それでもというべきか、口語俳句協会は60年間の幕を閉じても新しい会によって『口語俳句年鑑’17』(’16は休刊)は発行される予定だという。これもあれもたぶん田中陽の志、孤軍奮闘が支えているのだろう。
その節目の第60回全国俳句大会での最後の第56回口語俳句協会賞を「豈」同人・羽村美和子が受賞したのも何かの因縁かも知れない。以下に受賞作を引用する。
匂うにおう寒月光かセシウムか 羽村美和子
抽選で軍艦当たる宵の春
美しい数式次から次へ羽化
大会の最優秀賞「禅寺洞賞」は、
新涼の真水に戻す海女の髪 木下蘇陽
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