広渡敬雄(ひろわたり・たかお)、1951年、福岡県生まれ。
著者第三句集名『間取図』(角川書店)は以下の句より、
間取図に手書きの出窓夏の山 敬雄
「あとがき」には、
第二句集『ライカ』を上梓して七年。能村登四郎先生、私淑する飯田龍太先生がお亡くなりになってからも各々十五年、九年がたつが、登四郎先生の艶、龍太先生の凛を目指すものの足元にも届かない。
『ライカ』のあとがきに「私の俳句は、この地球上に存在しない純粋の青い薔薇を求めての永遠の旅であろう」と書いたが、その思いは今も同じである。
と記されている。いわば、本句集のありどころ、目指してきたところを自身開陳されているわけだから、そのように感じらればこれにまさるものはなかろう。しかし、むしろ、青い薔薇を求めての幻視者たるを、登四郎と龍太のはるかにのぞむことこそ氏にとっての今後に相応しいと思う。
以下に、いくつか、句を挙げておこう。
階段に折れし人影秋の暮
何もかもなし何もかも春の海
靄生みて靄を走れり雪解川
兜虫ふるさとすでに詩のごとし
鰭酒も義憤と言ふも廃れたる
ペリットの白き羽毛や春の風
ペリット:梟の吐瀉物
利根川に舟なき春を惜しみけり
風鈴の好きな風来る鳴りにけり
キョウチクトウ↑
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