本井英は第4句集『開落去来』(ふらんす堂)の書名の由来を、「あとがき」に
書名の「開落去来」は、私が大切にしている虚子の次の言葉からとった。
人生とは何か。私は唯月日の運行、花の開落、鳥の去来、それ等の如く人も亦生死して行くといふことだけを承知していゐます。私は自然と共にあるといふ心持で俳句を作つてゐます。
(「ホトトギス」昭和二十四年四月号)
と述べている。自らの達観もそこに求めているのだろう。またそのことを仁義として「花鳥諷詠」の根本的立場だと示している。
ともあれ、いくつか句を挙げておきたい。
虚子に〈廃川に何釣る人ぞ秋の風〉の句あれば
廃川に釣る杞陽ぞ秋の風
按ずるに「みや」と啼くゆゑ都鳥
火の山の裾や夏野を貼り合はせ
俳誌「夏潮」を思えば
討死も覚悟の一誌獺祭忌
とつとつとつとつとつとつとつ狐去る
停車駅ではゆつくりと降れる雪
蟻の道仲良しなどはをらぬらし
寒禽の声からみけりちぎれけり
数珠玉のまだ色づかぬ青二才
本井英(もとい・えい)、昭和20年、埼玉県生まれ。
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