斎藤すみれ『青い絵タイル(アズレージョ)』(現代俳句協会)、集名は以下の句から、
サン・ベント駅の涼しきアズレージョ(青い絵タイル)
序文の宮坂静生によると、
すみれさんの句集名を相談したところ、「青い絵タイル(アズレージョ)」と直ちに返って来た。これはポルトガル旅行での見聞に基づく。ポルトガルではいたるところで見掛けることができる美しい装飾タイル。粘土に色付けをして窯で焼き上げたもの。ことにポルトのサン・ベント駅のホール壁を飾るポルトの歴史を描いた鮮やかなアズレージョは仰ぎ見てうっとりする。すみれさんも魅せられ、第一句集名に選ばれたものであろう。
とある。同時にこの集名ともなった句に寄せて、
爽やかな女性である。「爽やかさ」は生来のものもあろうが、長い人生さまざまな哀楽を経て、つとめて身につけるものでもある。
と述べ、さらに最後に、
句集『青い絵タイル(アズレージョ)
』は歩けば長い人生の出発に相応しい宝物である。
と結ばれている。
幾つかの句を挙げておこう。
若夏やマンブローブの根は修羅に
ふくふくと桃やねずみや吊るし雛
沖波に暾(ひ)
のあたりたる紫羅欄花(あらせいとう)
春水の歌ひ始めるビビディバデビィブ
目も口もなきマネキンや虫の夜
斎藤すみれ、1949年、茨城県生まれ。
ジュウガツザクラ↑
0 件のコメント:
コメントを投稿