2017年7月31日月曜日
瀧春樹「炎天を突き抜け麒麟の首である」(『樹句集Ⅲ』より)・・
『樹句集Ⅲ-「樹」創刊25周年記念季語別アンソロジー』(書心社)、樹同人代表・太田一明「『樹』創刊二十五周年を祝す」は以下のように記している。
「樹」にはいろいろの樹がある。松の木があれば杉の木のある。瀧主宰の指導方針は「自身の肉声で自身の今を書く」である。肉声は個性に他ならない。松に向かって杉になれとは言わない。松は松のまま育ってくれればいいのである。(中略)
句を募集し始めてから五年が経った。作者の中にはこの世にいない方も居られる。残念でならない。
と。また、瀧春樹の「あとがき」には、傍題は「樹俳句歳時記」としたがとして、
ただ一、四〇〇余句の季語と三、〇〇〇ばかりの句数では、歳時記というには拙く、同人による「季語別アンソロジー」と位置付けている。
句の分類は、春、夏、秋、冬、新年、雜の部の他、「花の彩時記の部」を特別に加えた。理由は、今「樹」誌上で連載を続けている《花の彩時記》を念頭に置いた。
このシリーズは、管見にして過去に比較的例句の少ないと思われるものや、手許の歳時記に単独で記載のない、主に山野草を中心に俳句でどこまで書き込めるかという試探と言えなくもない。
と記している。ところで、「樹(たちき)」俳句会歌というのがあるらしい。作詞は伊藤ミネ子「樹節だよ人生は」という題の歌で、(「浪花節だよ人生は」のリズムで)とある。面白いのは「樹句会」という部分をそれぞれ別の俳句会の名を入れて歌えば、すぐにも〇〇俳句会歌というのが出来る。お試しあれ。一番から三番まであるが、一、二番を以下に紹介しておこう。
一 樹に入って素直に詠んだ
少し褒められその気になった
軽い気持ちが本気に化けて
よせばいいのに俳句漬け
樹句会は男の男の人生よ
二 嘘も詠えと教えてくれた
恋も詠えと教えてくれた
そんな春樹に振り廻されて
燃えた女がまたひとり
樹句会は女の女の人生よ
誌を読んでいると指導はなかなか厳しそうだが、また、無類に楽しそうという印象である。
ともあれ、雜の部立から一人一句を以下にあげておこう(雜・無季の部があるのに意外に雑の句が少ないので・・)。
杏色
束ね髪頬の丸味の杏色 渡辺ひでお
銀波
森よりいできて銀波にすいこまる 夏田風子
鶚(ミサゴ)
ゆったりと風のミサゴの鋭き眼 安行啓二
落暉
落暉が不気味な平和部厚く肉焼かれ 瀧 春樹
「樹」創刊25周年おめでとうございます。
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