2017年8月17日木曜日
鈴木志郎康『とがりんぼう、ウフフっちゃ。』(書肆山田)・・
鈴木志郎康の詩集は、ここ四半世紀のあいだ、単独詩集10冊ほどは、すべて書肆山田から刊行されている。「あとがき」には、冒頭「三年連続で詩集を出せたのは良かった。嬉しいです」とある。その三冊とは『どんどんどん詩をかいちゃえで詩を書いた』(2015年)、『化石詩人は御免だぜ、でも言葉は。』(2016年)、そしてこの度の『とがりんぼう、ウフフっちゃ。』(2017年7月)である。つまり、鈴木志郎康が80歳になってから出版された詩集ということになる。
さらに「あとがき」は以下のように記されている。
かまくら春秋社季刊「星座」二〇一六年夕鐘号No.79に発表した「木の魚眼写真をいつも見てるっちゃ」以外の作品はすべてさとう三千魚さんのWeb詩誌「浜風文庫」に発表した。FacebookやTwitterにリンクされていて、そこに投稿されると、読んだ人が押すそれぞれの「いいね」や「コメント」や「シェア」に読者の反応がでる。その「いいね」や(コメント」や「シェア」の数が励みになって詩を書き続けられたということもある。ボタンを押してくれたみなさんに感謝です。
ともあった。そうしたツールを使いこなせない愚生には想像もできないネットの時代に入っているらしい。ともあれ、引用したい詩はいくつもあるが、短い詩を一篇以下に紹介しておきたい。
これって俺っちの最後の姿かって
立て掛けた杖が
キッチンのリノリュームの床に、
バチ―ンって
倒れた。
床にペタッと、
してた。
これって、
俺っちの
最後の姿かって、
つい思っちまったよ。
ホイチョッポ。
ここまで書いて、
翌日の夜中に、
キッチンと広間の境で、
杖投げ出すかっこで、
すっ転んじまったっす。
イテテって叫んで、
テレビを見てた、
息子の草多に
抱き起こされたっすね。
怪我はなかった。
麻理が脚をさすってくれたよ。
よかったですっす。
ホイチョッポ。
明るくなって、
庭に、
五月の風が流れ込んで、
若緑の葉が、
さわさわって揺れたよ。
鈴木志郎康(すずき・しろうやす)、1935年、東京生まれ。
ナミアゲハ↑ 撮影・葛城綾呂
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