2018年12月7日金曜日
岸本マチ子「かくれんぼ鬼のままです枯野原」(『WA 創刊30周年記念合同句集』より)・・
『WA 創刊30周年記念合同句集』(WAの会)、「はじめに」で、岸本マチ子は、
WAは/我の わ/友だちの 輪/人の 和/なま身の人間の挙げる
叫び声の わあー/なのです/そんな輪に あなたも入ってみませんか
小さな/感動の わ を私たちの手で
そんな感動のわを私たちは目指してやって参りました。動乱の昭和が終わって平成と年号が変ったその一月私たちは産声を上げました。
と記している。いわば平成の時代とともにWAは歩んできたのだ。WAは、沖縄在住者に特化した同人誌だと思っていたが、豈はからんや岸本マチ子の故郷である群馬県など、全国に同人がいる。しかもここ数年は同人の数が増え続けている印象である。相当数の方がいらっしゃるので、多数の沖縄在住の方以外を以下に拾ったのだが、これまたけっこうな人数になった。とにかく創刊30周年おめでとう!巻末には、年譜のほかに「俳句の未来」と題した座談会(岸本マチ子・宮里晄・宮城陽子・宮城正勝・親泊ちゅうしん・池宮照子)が掲載されている。
ごめんなんしよ白菜を提げて来た 赤城獏山
ドロップの缶のこぼれる春の色 秋山和子
遠蛙前世の分まで鳴きつくす 井崎外枝子
還らざる子らの名前も祝箸 大島知子
北窓を開けて海の香山の色 片山知之
死火山の白神山地滴れり 鎌田美正子
秋雨や眼科のスイッチロボットに 辛川八千代
蝶ふたつたとへば空へ弾くピアノ 喜岡圭子
ふるさとなき朧の夜のはないちもんめ 児島愛子
秋扇九十年の風の神 駒走松恵
冷たさを意識している喉ぼとけ 佐滝幻太
五月来る身のかんぬきを抜いている 須崎美穂子
はにかみも矜持もありて寒桜 すずきてるこ
日記買う同じ袋に明日のパン 瀬戸優理子
生と性 死と詩のあわいおぼろ立つ たまきまき
花散るや暗渠の口は開きしまま 田村 葉
ゲルニカに学べぬ輩春疾風 東郷恵子
福笑い人を一つにはひふへほ 徳沢愛子
二〇一一年三月東日本大震災
電気なく水なく火なく着ぶくれて 徳永みどり
洞窟のマリアを囲む白き薔薇 飛永秀子
ふらここの残心という揺れを漕ぐ 奈良千惠子
一杓の日を負う清水汲みにけり 永田タヱ子
貝がらをひろう途方にくれている のとみな子
国というまぼろし真夜の烏瓜 羽村美和子
遺伝子の組換え中です冬銀河 原しょう子
桃太郎金太郎行く春の雲 原田ひでか
竜渕に潜む連打の大太鼓 ハルツォーク洋子
花野行く貴方どなたと言う母と 兵庫喜多美
ほろ酔いの亡父(ちち)読み給う初歌留多 真鍋俊男
人生の閉幕日まで居待月 三石なるみ
鰤大根妻鼻歌の反戦歌 村上 豪
妻の忌を修す山茶花日和かな 山田廣徳
望郷(ぺぺル・モコ) 群衆空ノ渚ユク 凌
子供らは人間代表芝青む 脇本公子
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