2020年3月28日土曜日
鈴木鷹夫「桜前線神仏酔はせつつ北へ」(「門」4月・400号記念号)・・
「門」4月・400号記念号(門発行所)、編集後記には、創刊35周年に触れて「『門』は本号にて創刊400号に達しました。三十五巻の歴史を重ね、(中略)新たなる『門』の出発です」「二十年近く担当させていただいた編集を辞することになりました」(勤)、また「亡き師と俳句談議に興じた至福の時間。『伝統と革新の鬩ぎ合い』を最後まで唱え続けた鈴木鷹夫がそこにいた」(真)とあった。
鈴木節子「四百号を迎えての懐古」には、「鷹夫の陰の呼び方があった。『静かなる亭主関白』」とあり、鳥居真里子「『門』をひらけば、鷹夫と節子」の中には、
(前略)あれからはや七年の歳月が過ぎ去ろうとしている。遺影には大好きだった珈琲が毎朝欠かさず供えられている。そのすぐ前でいつものように気ぜわしそうに仕事に精を出す節子さんがいる。「もっと小さな声でも聞こえるよ」。珈琲を飲みながら優しく微笑みかけるそんな声が聞こえてくる。
風花は空の音楽妻と聞く 鷹夫
とあった。思えば、愚生の父の世代に近かった鈴木鷹夫には、その著書をその都度恵まれ、随分と気に掛けていただいたように思う。ブログタイトルにした句は、木本隆行「鷹夫の四季(4)/桜前線神仏酔はせつつ北へ 鷹夫/平成二十二年作」からのもの。そこには、
(前略)桜前線とはあくまでもマスコミによる造語であり、あまり詩的に感じない言葉である。だが、作者は神仏を酔わせることで誌へと昇華させた。
と記されている。ともあれ、同記念号より「鷹燈集」までの一人一句を挙げておきたい。
九十は近くて遠し春の霜 鈴木節子
天邪鬼そろそろさくら芽がふくぞ 鳥居真里子
初夢に戦現はる哀しかり 野村東央留
浮寝鳥凍り付きたる恋願ひ 小田島亮悦
老人よみんな右向け右は春 成田清子
枯野ゆく身の水深をはかりつつ 神戸周子
冬凪や灯火ふるへる佃島 大隅徳保
然りげなく和解せしこと新日記 長浜 勤
巻尺のもどる勢ひ初仕事 石山ヨシエ
ひもろぎにはや一月の波飛沫 布施 良
少年を滅ぼしやまぬ雪ぼたる 関 朱門
柊や父音母音のごとくにも 梶本きくよ
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