2020年5月5日火曜日
福田将矢「十月の空は寂しく晴れ渡り未来にあなたは生きていますか」(『301』VOL.2より)・・
『301/VOL.2 ダダダダウッピー』(象の森書房)、帯の惹句には、
301は、俳句・短歌を共通言語に、ダンサー・ミュージシャン・画家・蛇研究者等、様々なジャンルのメンバー15人が集い、新たな視座や活動領域を作って行く場である。
とあり、「あとがき」とおぼしき巻尾には、
301第二作品集の副題「ダダダダウッピー」は2019年5月6日開催の第12回301ワークショップ「歌詞を書いてみよう」から生まれた。ミュージシャンの中村公が作編曲した楽曲に、参加者が歌詞を付けるという企画だったが、同じサウンドからこうも違う言葉が紡ぎ出されるものかと驚かされた。宇都宮さとるが企画の趣旨を無視し、曲と全く関係ない詞を持って来たため、止むを得ず、中村公がギターを掻き鳴らし、和田愛が即興のメロディーで歌ったのだが、これが存外耳に残るナンバーだったので、この一年を総括する今作品のタイトルにしたのである。
と記されている。ともあれ、愚生は俳人だから、俳句・短歌のみに限って以下に一人一句紹介しておこう。
バスケットゴールの雪を落としけり 鈴木春菜
空室のままでも子宮百日紅 嵯峨実果子
草田男先生ごめんなさい。
立冬や乳首はかたく立ちにけり 山口優輔
ビル解体 きみどり色の換気扇 西﨑幹人
春うらら車椅子のストーカー 植田かつじ
原点のように冬の蝶がある 工藤 惠
長き夜を停電のなか待つてゐる 石川凍夜
ボディータッチの多い女と秋黴雨 山本真也
晩春見渡せばはらはらと聴こえたような 宇都宮さとる
立て看を除けてしつらう銘板にペンキで塗った自由の二文字 山口 凛
僕たちはスルメのようには行かずともガムのようでは決してなかった 宮嶋千紘
そういえば忘れていたと喜んだ/一月を腑抜けを誘う罠にする 中村 公
鮮やかな葛餅の中で動けない人生だったと言うのだろうか 和田 愛
一日の終わりはみんな平等に末期癌の母にもやってくる 福田将矢
*平野文乃「ふらんす語的観点からの『柿食えば・・・』考察」は割愛した。
撮影・鈴木純一「藤の下縦横高さ二万由句」↑
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