小暮陶句郎第3句集『薫陶』(ふらんす堂)、その「あとがき」の中に、
(前略)『薫陶』は「ひろそ火」創刊から八年四ヶ月の間、毎月積み重ねてきた俳誌が100号を数えた平成三十一年四月までの四四四句を収録した。そして元号が令和へと改まった五月以降の作品を次の句集に纏めるつもりである。(中略)
今回の句集名「薫陶」は「ひろそ火」から優れた作家を世に送り出したいという願いと、陶芸家としての「陶」の文字へのこだわりによるものである。これで平成に詠んだ句を纏めた三冊の句集名に全て「陶」の文字を冠したことになった。還暦という人生の節目を前に、このような句集が上梓出来たことはまことに嬉しい。(中略)
未曽有のパンデミックを体験したことも俳句の肥やしとして、世の中の変化に柔軟に対応しながら、「ひろそ火」の仲間と共にさらなる俳句の高みを目指せれば嬉しい。
とあった。奮闘を祈りたい。そういえば、随分以前に、愚生がちょうど今と彼と同じ年齢の頃、彼とカラオケに行ったことを思い出す。若い世代らしく、身振りをまじえた弾けた歌は上手かった。これも随分大昔になるが、辺見庸がカラオケの下手な奴は小説も下手だ、とちらと呟いていたことがあったなぁ・・・。ともあれ、以下にいくつかの句を挙げておきたい。
ぼんぼり無き被災後の花日和 陶句郎
命みな水の化身や大花野
菊練りの陶土に呑まれ木の葉髪
白が白汚してをりぬ春の雪
花筵凸凹人も凸凹に
蛇穴を出づ金銀の砂つけて
両の手は太古の器水の秋
しろがねの太陽色鳥をこぼし
影光影光影春疾風
影何か描くごとくに糸桜
小暮陶句郎(こぐれ・とうくろう) 1961年、群馬県伊香保町生まれ。
芽夢野うのき「朝顔の花の地図にてやや迷ふ」↑
0 件のコメント:
コメントを投稿