『群妙 30号記念 自選句集』(自由句壇クラブ)、序は富永鳩山、それには、
「群妙」は平成十九年六月に創刊いたしました。先月三十号を上梓し、そしてこの度「記念自選句集」を上梓することができました。(中略)
過去の句を選び出すことは、意外と骨の折れることだったのではないでしょうか。句と共に作者の歴史も見えてきます。ざっとふるいにかけることで、作者の個性が浮かび上ってくれば、面白いと思います。自選句集を上梓するにあたり、物故者の皆様の作品も十句選ばせていただきました。
とあった。愚生は山口県生まれなので、「群妙」も山頭火のふるさと、山口県防府市あたりを中心に頑張っておられるので、親しみが湧いている。本号の最初の赤城弘の作品下段エッセイを読んで、縁がある不思議を思った。それには、
赤旗紙上(二〇一二・九・二六)の「俳壇」で大井恒行が「自由律句の復権」を載せ、『現代自由律100人集(平成24年版)』を論評していた。同本は本屋の店頭にはなく、発行元の「自由律のひろば」より手にして読んだ。そんな機縁で代表富永鳩山より「群妙」への参加を誘われ、まよわず、第13号から誌友、第26号より会員となり現在に至った。
とあり、現在は86歳になられているという。そういえば、かつて愚生は、「赤旗」に月一度の俳壇時評を2年間やっていたことがある(よい勉強になった)。本書には、100名以上の方の10句が掲載されているので、すべてを紹介しきれないのが残念だが、以下に幾人かの一句を、挙げておきたい(なかには、愚生のお会いした方もおられる。懐かしい)。
線量を被ったいつものキノコに おはよう 赤城 弘
壁に描いた窓でも鍵は開けておく 荒木 勉
がんばって実ったきゅうりいただいている 石竹和歌子
妻の楽しそうな寝言を介護する いまいきれ尚夫
妻の死を受け入れて月は満月 大倉 明
春風に乗りかえる 金澤ひろゆき
形見の背広で親父を纏う 喜多賢治
こんな夜は猫背になって掌(て)の中の父と語る 小山貴子
ういろうはふるさとほろほろとあまい 白松いちろう
触角を拒否した街にいる 新山賢治
鳥たちはフクシマの空に線を引かない 田中里美
ついに老人ひとりごころの自転車こぐ 田中 陽
みんなちがう顔してまるくなった石 富永鳩山
色のない時間に夢を注ぐ 中村好徳
死んでる場合じゃないと下駄をそろえる 平岡久美子
立てたままでいる君のまな板 平田雅敏
おもいでに雨エンドロールにふりしきる 松岡月虹舎
古里デハ吐息ガ夜ヲツナイデイタ 近木圭之介
★閑話休題・・久松良一「月日が語り出すひなたぼっこの丸い背中」(自由律俳句協会ニュースレター」NO.15より)・・・
「自由律俳句協会ニュースレター」NO.15(自由律俳句協会)、記事なかに「『自由律の泉賞』〈第1回〉互選結果発表」があって、投句作品による鑑賞文は、機関誌「自由律の風」第3号に掲載の予定だという。因みに、掲載されている作品を以下に紹介しておこう。
〈第1位〉月日が語り出すひなたぼっこの丸い背中 久松良一
〈第2位〉空の青さが降ってくるひとりぼっちのベンチ 金澤ひろあき
〈第3位〉君が見ていない景色を君に見てゐる 柳泉洞
妖精がきっといる今日の月夜 部屋慈音
〈第5位〉宴げのあと淋しさが隣りに座る 原さつき
ただ会いたいふる里の空はソーダ水 佐川智英実
小さないのち運ばれていく春の地面 富永順子
◆第27回自由律フォーラムのお知らせ・・・・
・開催日 11月23日(祝)午後1時半より
・場 所 東京「江東区芭蕉記念館」分室会議室
・投 句 自由題2句(未発表のもの)
・投句料 1000円(下記までお振込み下さい)
「ゆうちょ銀行 10180-54162271」中塚唯人 口座宛
・応募要項 申し込み用紙に①~⑤までを必ずご記入の上で郵送下さい。(ハガキ・メール・FAXも可)
①氏名(所属会名) ②住所。電話番号、メールアドレス(極力こちらを使用ください)
③投句2句 ④当日の出・欠 ⑤懇親会、出・欠(後日選句の差異に変更可能』)
*懇親会を会の終了後、引き続き同所で行う予定です。(費用1500円)
・投句先 〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2-28-14 海紅社中塚唯人宛
電話・FAX 03-3422-6962 メールは tadato8008@nifty.com まで
・締 切 令和3年9月30日(期限厳守)
・主 催 東京自由律俳句会、プロデュース「海紅」
芽夢野うのき「露人ふいにおしろい花を摘み去る」↑
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