兼題は一句「日」+雑詠2句=合計3句出し。ともあれ、一人一句と寸評を以下に挙げておこう。
指折りて何を数える日向ぼこ 渡邉樹音
葉牡丹の大中小の人生感 らふ亜沙弥
金属音ぶちまけている氷点下 江良純雄
大晦日人それぞれの夜が来る 杦森松一
まんじゅしゃげ一つの旗は燃えやすい 武藤 幹
冬没日(いりひ)撤去止む無し跨線橋 渡辺信子
数え日や山里海(みなと)白い日日 金田一剛
日月に生まるる火宅室の梅 照井三余
空の無の空無の宙(そら)の雪無限 大井恒行
・渡辺信子「悲しみの氷柱言葉は傍に置く」ー感情の氷柱だ!溶けるに従い「言葉」と成るか!?(幹)。ー氷柱は心。言葉なんかでは表現できず。仕方なく心の外に置き悲しみに埋没する(純雄)。
・「指折りて・・」ー日向ぼこしているといつの間にか、こんなことをしている私(亜沙弥)。ー老骨を感じてしまいます(松一)。
・「葉牡丹の・・」ープランターに並べられたいろいろな大きさの葉牡丹を見て、作者はふいに人間について思った。なにか、ものに触発されて思うことがよくある。今年、係長は何を考えているのか、とか、どうも部長の考えはこ頃変だとか(英一)。ー人生観ではなく、人生感なのですね。なるほど(信子)。
・「金属音・・」ー悪意すら感じるほどの寒気ですね(信子)。
・「大晦日・・」ー大忙しの大晦日。この日は「集団」の意識が強い。個人に光を向けた事、秀逸!!(幹)。ー「人それぞれ」が好感(亜沙弥)。
・「まんじゅしゃげ・・」ー「まんじゅしゃげ」と中下句「一つの旗は燃えやすい」のフレーズのシンプルな対比でありながら、様々な示唆を感じさせる(恒行)。
・「冬没日(ふゆいりひ)・・」ー「跨線橋」には太宰に繋がる憂愁がある。中句のこだわりが響く!(幹)。
・「数え日や・・」ー下五「白い日日」の「日」が果して何か?意外に抽象的である。ただ「山里海」に自然の循環の摂理を思うと、もう少し句が良くなる措辞が見つかるのではないだろうか(恒行)。
・「日月に・・」ー上五と中七の「日月に生まるる火宅」は佳いとしても、下五「室の梅」では、余りに平凡過ぎるのではないか。「火宅」とくれば、どうしても檀一雄の「火宅の人」が脳裏をかすめる。一句を飛躍させる下五(言葉)が欲しい(恒行)。
・「空の無の・・」ーわたしは、俳句は日本語と日本字(漢字・かな=国字)で成るものだと思います。この句を、音だけで聴くのと、文字の配置で見るのとではとらまえかたが違ってくると思います。俳句はビジュアル詩でもありますね。わたしは、こんな字面やことばの配置句を心がけtいます。が、そうすると毎度毎回「だじゃれ句」に陥りやすいのです(剛)。
芽夢野うのき「むべなるかな蠟梅は黄に殉ず」↑
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