第41回・メール×郵便切手「ことごと句会」(2022年9月17日・土付け)、雑詠3句+兼題は一句「十」。以下に一人一句と寸評を挙げておこう。
鎌倉に十日の恋や式部の実 らふ亜沙弥
悲しさをくるめよ碧き絹の秋 渡辺信子
新涼や長ネギの香の透き通る 武藤 幹
太刀魚の捌く片手にリング見え 杦森松一
行く夏の乱楽章を海に捨て 照井三余
秋茄子と嫁モラハラと気遣いと 江良純雄
十八(とや)の月片目を閉じた烏猫 金田一剛
十年を水漬く屍や暮の秋 大井恒行
★寸評・・
・「引金に重なる影の指数多(あまた)」ー俳句として、心根として、良心として、理念として特選だ!銃弾は良識ある大多数の国民の指が引かせた!!(幹)。銃の引金を引こうとする多くの指、それが影となって重なっている。あらゆる戦闘シーン、あるいは個人的な復讐など、偏在している人間の心理をよく表現している(恒行)。
・「鎌倉に・・」ー鎌倉という土地柄、短い恋、紫式部の実のあの濃密な紫色、すべてが美しい!(信子)。
・「悲しさを・・」ー詩的な味わいがあり、リズムが良いです(松一)。碧き絹はストールなのか、言葉にはならない悲しみがこみ上げる(樹音)。
・「新涼や・・」ー即席ラーメンを作りながらの句稿をチラリ、この作者が長ネギを斜めに切る俺を覗ている!?(三余)。
・「太刀魚の・・」ー銀色に輝く太刀魚「の」を「や」にはしたくないし、「を」だと説明的だし、太刀魚と指輪の輝きが妙だ(亜沙弥)。
・「行く夏の・・」ー夏に限らないが、乱楽章は異常気象。説得ある造語(純雄)。
・「秋茄子と・・」ー秋なすび嫁に食わすな!なんて諺がありますが、「と」が三つ気になりました(亜沙弥)。
・「十八(とや)の月・・」ー黒猫を飼っていたので分かります。飼い猫を思い出します(松一)。
・「十年を・・」ー辞書をひもとくと「十年」のとなりに、「十念」があります。十年経っても、十年唱えても消えない心念があります。最近、疲れ過ぎて寝ると目覚めるときに幻視(夢じゃないと思う・・)を見ることがあります。かといってもう一度寝ると、お昼近くになることが多々・・(剛)。
★閑話休題・・津髙里永子・森澤程「~ちょっと立ちどまって~」20022.9・・
以下に一人一句を挙げておこう。
わが自立神経茸見てふらつく 津髙里永子
ベネチアの仮面に秋の光かな 森澤 程
撮影・鈴木純一「生き残ったほうが負けだぞ綴刺」↑
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