昨日、12月16日(金)は、現代俳句協会「金曜教室」の第8回目。宿題での持ち寄る句は「平仮名のみで句を作る」1句と「カタカナで句を作る(漢字入り可)」1句の合計2句であった。以下に一人一句を挙げておきたい。
ゆけむりのさんかくしかくまるおでん 林ひとみ
愛國ハ教育勅語ヨリ蹴鞠 川崎果連
人ト云フ一瞬ノ夢冬ノ雷 石川夏山
クリスマスミゾへナガレルダイヤ針 杦森松一
水際二冬ノ気配ノ海岸線 高辻敦子
さざんくわやひとひらごとのちるきおく 山﨑百花
ふゆのきみうすむらさきのけしょうすい 武藤 幹
つらのかわするりとはがしゆずのふろ 鈴木砂紅
砂二残ル足アト波ノ消ゴム 植木紀子
よろこびもかなしみもだくかけぶとん 宮川 夏
はねふとんささやきこゑのあふれをり 白石正人
ひみのはまあつきぶりしゃぶたからかな 岩田残雪
じゅうにがつくにうたつきるさんがかな 大井恒行
次回、1月20日(金)は、雑詠2句持ち寄り。皆さん、よいお年をお迎えください。
★閑話休題・・夢枕獏「死しししし口にするなよやつが来るからな」(『仰天・俳句噺』より)・・
夢枕獏『仰天・俳句噺』(文藝春秋)、そのエッセイの「最終回 幻句のことをようやく」の中に、
またもや、入院してしまった。(中略)
カテーテルを二本、心臓まで入れられて、心臓の細胞をとったり、あれこれされて、八日入院し、なんとか年内退院で、正月は家ですごすことができたのだが、八キロもどした体重があっという間に十キロ減って、前回よりもさらに二キロ減ってしまったのである。(中略)
「あ、これは何に使う道具ですか」
などと、わざと口にするとぼけた老人になりたいと考えて、「忘竿翁」としたのである。
この忘竿翁の名前で、一年近く投句を続けた。毎月五句。
投句された作品から、長嶋さん、夏井さんが、それぞれ特選三句、佳作十句、選外佳作十句を選ぶ。(中略)
この一回目に応募した五句のうちに紛れ込ませていた一句が、このゴジラの句だったのである。
ゴジラも踏みどころなし花の山 (中略)
結局、一年近くかかって、ようやくぼくの句が掲載されたのは、二〇一九年十二月号の「小説野生時代」である。
特選ではなく佳作であったが、この句を選んでくれたのは、やはり夏井さんであった。
湯豆腐を虚数のような顔で喰う
このエッセイの「黒翁(くろおきな)の窓」と題された句の中から、いくつかを以下に紹介しておきたい。
我が肉にからむチューブを遍路する
春の蛇吐くなら胸の黒真珠
点滴てんてんてん花冷えの夜
咳ばかりのひと晩でしらしら
新緑に凝っと見ているガンである
おいガンよ蓮華を摘みにいかないか
この最後の句「おいガンよ・・・」の句には、夏井いつきが「籠にワインとクラッカー入れ」と、七七の付け句を添えてくれたとあった。
夢枕獏(ゆめまくら・ばく) 1951年、神奈川県生まれ。
撮影・鈴木純一「霜の朝ハグする人と長生きを」↑
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