2022年12月17日土曜日

川崎果連「おやゆずりおっちょこちょいのちゃんちゃんこ」(第7回・現代俳句協会「金曜教室」)・・


  昨日、12月16日(金)は、現代俳句協会「金曜教室」の第8回目。宿題での持ち寄る句は「平仮名のみで句を作る」1句と「カタカナで句を作る(漢字入り可)」1句の合計2句であった。以下に一人一句を挙げておきたい。


  ゆけむりのさんかくしかくまるおでん    林ひとみ

  愛國ハ教育勅語ヨリ蹴鞠          川崎果連

  人ト云フ一瞬ノ夢冬ノ雷          石川夏山

  クリスマスミゾへナガレルダイヤ針     杦森松一

  水際二冬ノ気配ノ海岸線          高辻敦子

  さざんくわやひとひらごとのちるきおく   山﨑百花

  ふゆのきみうすむらさきのけしょうすい   武藤 幹 

  つらのかわするりとはがしゆずのふろ    鈴木砂紅

  砂二残ル足アト波ノ消ゴム         植木紀子

  よろこびもかなしみもだくかけぶとん    宮川 夏

  はねふとんささやきこゑのあふれをり    白石正人

  ひみのはまあつきぶりしゃぶたからかな   岩田残雪

  じゅうにがつくにうたつきるさんがかな   大井恒行


 次回、1月20日(金)は、雑詠2句持ち寄り。皆さん、よいお年をお迎えください。



★閑話休題・・夢枕獏「死しししし口にするなよやつが来るからな」(『仰天・俳句噺』より)・・


 夢枕獏『仰天・俳句噺』(文藝春秋)、そのエッセイの「最終回 幻句のことをようやく」の中に、


 またもや、入院してしまった。(中略)

 カテーテルを二本、心臓まで入れられて、心臓の細胞をとったり、あれこれされて、八日入院し、なんとか年内退院で、正月は家ですごすことができたのだが、八キロもどした体重があっという間に十キロ減って、前回よりもさらに二キロ減ってしまったのである。(中略)

 「あ、これは何に使う道具ですか」

 などと、わざと口にするとぼけた老人になりたいと考えて、「忘竿翁」としたのである。

この忘竿翁の名前で、一年近く投句を続けた。毎月五句。

投句された作品から、長嶋さん、夏井さんが、それぞれ特選三句、佳作十句、選外佳作十句を選ぶ。(中略)

 この一回目に応募した五句のうちに紛れ込ませていた一句が、このゴジラの句だったのである。

  ゴジラも踏みどころなし花の山  (中略)

 結局、一年近くかかって、ようやくぼくの句が掲載されたのは、二〇一九年十二月号の「小説野生時代」である。

 特選ではなく佳作であったが、この句を選んでくれたのは、やはり夏井さんであった。

  湯豆腐を虚数のような顔で喰う   


 このエッセイの「黒翁(くろおきな)の窓」と題された句の中から、いくつかを以下に紹介しておきたい。


  我が肉にからむチューブを遍路する

  春の蛇吐くなら胸の黒真珠

  点滴てんてんてん花冷えの夜

  咳ばかりのひと晩でしらしら

  新緑に凝っと見ているガンである

  おいガンよ蓮華を摘みにいかないか

 

 この最後の句「おいガンよ・・・」の句には、夏井いつきが「籠にワインとクラッカー入れ」と、七七の付け句を添えてくれたとあった。


 夢枕獏(ゆめまくら・ばく) 1951年、神奈川県生まれ。


       撮影・鈴木純一「霜の朝ハグする人と長生きを」↑

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