愚生の記憶違いかも知れないが、1991年6月、16号「折笠美秋追悼特集」を出して以来休刊中である。
創刊同人は10名、阿部鬼九男、岩片仁次、大岡頌司、折笠美秋、川名大、坂戸淳夫、佐藤輝明、志摩聰、寺田澄史、安井浩司である。その後、牛島伸、高橋龍を迎え、志摩聰が退会したが、黄泉國同人折笠美秋を入れて休刊号は10名であった。その後、編集発行人・坂戸淳夫も旅立ったが「騎の會」は解散してはいない。
いずれの同人も高柳重信親衛隊とよばれた俳人らであり、「私たちの“精神圓心”に在った折笠美秋氏」(16号編集後記)のための雑誌だった。
もし、折笠美秋健在であれば、「俳句評論」は廃刊することなく、ともかくは存在したであろう。
やんぬるかな、その時、美秋は筋萎縮性側索硬化症で、すでに全身不随、自発呼吸ゼロ、発声不能だった。重信が唯一、後継とたのんだ美秋には、重信の死は、すぐには知らされず、伏せられた。
「騎」に発表された美秋の句は、妻・智津子が美秋の目,口の動きを読み取ってのものだ。
「火伝書」と題した創刊号の10句の詞書は「多行俳句は髙柳重信氏一代にてこそと固く思いおり候されどされど多行形式の火消し置くは返す返すもくちおしくて候て」とある。
雨だれは
目をみひらいて
落ちるなり 美秋
句病みとや
雪病み
花病み
月病みして
紅殻や天の揺籠解体して 鬼九男
朝風(あさかぜ)
前置詞(ぜんちし)
宿痾(しゆくあ)
十六夜薔薇(いざよいばら) 仁次
葭葦の浜あり伊能忠敬一行来る 頌司
何に触れ狂れとぶ蝶か存へよ 淳夫
吉野山いま咲く花を血に染めて 輝明
閑にゐて忘閑の餉を菫守 聰
汝ははきに騎らむとするや独活畑 澄史
天心を飛ぶ肉蝉と呼ばれても 浩司
川名大は評論「連作の座における『蝶墜ちて」の句の読み」。
表紙絵は亀山厳。
サザンカ↓
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