『たむらちせい全句集』が出た。懇切な解説は「蝶」を継承した味元昭次。序には、無二の句仲間という伊丹三樹彦、祝詩を伊丹公子。これまでの『海市』『めくら心経』『兎鹿野抄』『山市』『雨飾』『菫歌』6冊の句集に加えて、未刊句集として『日日』が収載されている。
タイトルの句は、2012年11月に行われた「蝶」俳句大会に、今泉康弘が出席し、今泉が所属する同人誌「円錐」の発行人澤好摩のことを詠んだ句だ。
愚生も以前、「未定」同人だった時代に澤好摩から、四国は土佐に、たむらちせい、味元昭次がいると、よく聞かされていた。
たむらちせいは本名・田村智正。1928(昭和3)年、土佐市生まれ。19歳で俳句を作り始め「馬酔木に投句。佐野まもるに学び、1960年「青玄」に入会し伊丹三樹彦に師事した。76年、同人誌「海嶺」を創刊し、のち83年「蝶」と改題した。
たむらちせい86歳、,いまだ健在である。以下に未刊句集『日日』から句を挙げておこう。
炉心溶融(メルトダウン)
と地平を共にして螢 ちせい
木乃伊様よりわたくしミイラ行水す
弔辞読む誤植のように蝶が来て
どこからが人間どこからがくちなは
キス ではない日の丸の血の痕だ
妻あれば他はのぞまず豆ごはん
日蝕のはじまるゑんどうごはん噴く
たらちねは此の世にひとり梨の花
一句一遺書一句一遺書青嵐
サルスベリ↑
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