「風来」第18号、「雨中は宇宙」の措辞は、和田悟朗ならではのものであろう。
この号の表2には「赤尾兜子戦後初期作品抄」として和田悟朗による8句の抄出と小文が掲載されている。以下に少し引用する。
黴くさき長靴よりも長き貌 兜子
木菟の杜白骨となるまで人を焼く
校塔のさびしさ雪のふりつくす
にんげんの焚く火かくさず露の中
赤尾兜子は、戦後の昭和二十年代、このような句を作っていた。毎日新聞神戸支局の記者となり、兵庫俳句欄の選者となった。ぼくは投句して兜子と接するようになり、そこでは大河双魚や村上鬼愁らとライバルだった。
ある冬の日、綿虫が異常発生したことがあり、そのことを投句の際、ちょっと書き添えたら、翌日の紙面に「東灘に綿虫異常発生」という記事が目についた。恐らく兜子のはじめての取材記事に違いない。
「風来」は発行されるのが楽しみな俳誌のひとつだが、実は「豈」の関西同人が幾人かいるのも原因のひとつかも知れない。以下に「風来」参加の「豈」同人の冒頭句を以下に記す。
木の芽田楽歩兵のごとく串並ぶ 堀本 吟
燈台のうしろに闌ける春の詩(うた) 山上康子
死と生をうすものにして桜逝き 山村 嚝(日偏に廣)
初景色焚書の煙たなびきて 高橋修宏
今号より津髙里永子「
冷凍庫に食パン冷蔵庫にバター」が新同人に加わったとある。
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