2015年1月21日水曜日
自由律俳句誌「蘭鋳」(発行・雲庵、編集・矢野勝久)・・・
「『蘭鋳』創刊の辞にかえて」に言う。
(前略)若い世代は求めている。自分達の言葉を顕在化させる場と、共に高みを目指していける仲間を。
(中略)
『蘭鋳』創刊の目的。それは自由律俳句の世界を前進させる事。低迷、停滞した現代の自由律俳句界を我々の手で変えていく事。(後略)
文面から察するに、これが創刊号なのだろうが、誌に号数の明記はない。ちなみに執筆者一覧によると12名(ユニット・さ行を入れて)。1971年~1986年生まれの間らしいから、年齢でみるとおよそ44歳~26歳の間に収まるので、、確かに俳人としては若い世代に属していよう。かつての前衛俳句が30代作家と称された戦後の俳人たちによって推進されたことを思えば、俳句形式に対する野心を抱き、その言語表現の実力をわき目もふらず実現するには適した世代と言ってもいいだろう。にしても(少し苦言を・・)、以下に「若手自由律俳句作品集」の8人一句を紹介するが、俳句形式の未来を展望するには、その俳号がいかにも前時代じみていて、新しみが発揮できるのか、韜晦しようとしているのかしら、と思ってしまう(愚生が古すぎるのかしら・・・)。
嫌いな人と台風の中ゆく 藤井雪兎
きずついた夜を切り取る月がほそい 畠 働猫
嘔吐する母の背骨の蝉時雨 さはらこあめ
寒い手に寒い手がぬくい 天坂寝覚
赤信号を渡るおばあちゃんが速くなった 馬場古戸暢
私を洗濯する湯に浸かる 風呂山洋三
らんちう優雅に狭い金魚鉢 矢野錆助
また会えたほこりがくるくるまわってた 中筋祖啓
この号の特集は「長律」取り上げられた作家は栗林一石路・橋本夢道・北田千秋子・岡野宵火・平松星童の5名だが、愚生の不勉強で、一石路、夢道以外の作品に触れることができたのは嬉しかった。
ねぎ畑あおく元旦のあたたかなあめになつている 千秋子
月はいま雲の中にある封をして封とかく
人間の苦悩冬のみづにうつつてゆく 宵火
金魚はいつもきれいな水の中に生き寒ンの日ざしのしづかな
ラジオが生々しい海戦の模様を、日本の夜は満天の星 星童
水のなかまで月夜である石のかたち
何はともあれ、新しい試みがなければ新しい何かも創造されない。次号に期待をつないでおこう。
ミツマタ↑
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