2015年3月7日土曜日
オン座六句「万国旗」の巻(垂人連句会)・・・
左端懐手が捌き・浅沼璞氏↑
「オン座六句」の連句と言ってもご存じない方もおられよう。
この連句式目の創業者の浅沼璞(あさぬま・はく)が今回の捌きである。
浅沼璞は『可能性としての連句』(ワイズ出版)をはじめ『「超」連句入門』(東京文献センター)などの著書とともに自らを連句人(レンキスト)と称しているが、『西鶴という鬼才』(新潮社)など四冊の西鶴論をもつ若手の論客でもある。
かつて、句集『雪女』を上梓するかなり前の眞鍋呉夫(天魚)を愚生に引き合わせたのも彼である。
そのお蔭で、その日、愚生は天魚捌きによる初連句を体験した。もうふた昔も前のことになろうか。
とはいえ、愚生は、連句の式目はおろか、「オン座六句」の式目にも明るくないので、以下に、彼の創業の式目を掲げて参考に付し、当日の連句の二連までを記しておきたい(全体はたぶん「曳尾庵(えいりあん) 璞」のホームページや「垂人(たると)」(中西ひろ美・広瀬ちえみ発行)に掲載されるはずであるので、興味のある方はそちらで・・・)。
巻かれた日時・場所は、3月5日(木)、下神明駅前地下の喫茶店「とろんそん」(奥が句会場用のスペース)。
「オン座六句六ヶ条」
①一連六句を基礎単位とし、やれるところまで連を継ぎ足す(序破急を鑑み、三連以上を理想とする)。
②第一連は基本的に歌仙の表ぶりに則る(短句の四三調も第一連のみタブー)。
③途中、自由律の連を定め、長律句(二十音前後)と短律句(十音前後)を交互に付け合う。
④月・花・恋に加え、「六句」の洒落として氷・岩(石)・ロックミュージックを任意詠み込む。
⑤常に三句目の変化を狙うため、同じ題材を三句続けない(同季や恋も同じ)。
⑥最終連の予測がついたら、五句までに花の座をもうけ、挙句でわざと打越し、一巻のエンドマークとする。
第一連
春 万国旗ゆれて春めく船出かな 広瀬ちえみ
春 千載一遇願ふ三月 浅沼ハク
馬たちの世間話を聞き取らん 鈴木純一
輪ゴムのように伸びちぢみする ますだかも
☽ むら雲のまたも近づきたる既望 中西ひろ美
秋 墨を使はぬまヽ秋の暮 大井恒行
第二連
ザ・カフェとのみ書かれしカフェの止り木に 高岡粗濫
恋 口説き上手はニッカがお好き 加藤 澪
恋 天秤を掛けるに迷ふ下心 ハク
石 本日限り墓石(ぼせき)のバーゲン ちえみ
夏 八ヶ岳遠くにありて合歓咲けり かも
夏 鮎の尾鰭のみなもとを向く 純一
第三連
背の筵たひらに鳴らす枇杷法師 ひろ美
R 危機「パラノイド」ブラックサバス 純一
取りあえず、愚生による一足先の公開はここまで・・・・後は捌き・璞の最終決定稿までお待ち下さい。
その日、捌きのよんどころない事情による時間制限もあって、巻終ったのは第四連(自由律の連)まででした。適宜の連で終わらせることができるのも、まあ、「オン座六句」の自由さでしょうか。
河津桜↑
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