2015年5月14日木曜日

「踏切に黒髪あそぶ真昼かな」(山内将史句集『地獄』)・・・



前回に引き続き、送られてきた愚生のファイルからまったく失念していた「季刊・俳句誌 山猫」(1990年夏・創刊号)を書き留めておこう。
俳句誌といっても表紙を入れてもわずか6ページのホッチキス止めの冊子である。
山内将史は「琴座」所属の後は、こうして、今にいたるまで個人で句を書き、発表し続けている(いまはハガキつうしん)。
従って句集『地獄』と言っても29句を搭載するばかりだ。
他には喜多昭夫の短歌が前書きの様に一首、引用されている。

  さよならは手をあげて言ふ君たちがああそんなにもジグザグする   喜多昭夫

そして、それに付けられた山内将史の句が、

  手を挙げて岸上が来る桜かな                将史   
  いつまでも手はさよならのかたちかな

他にいくつか挙げよう。

 幽霊の美貌したたるほかはなし
 合はせ鏡の列の一人が歩み去る
 桜しべ降るや無人の滑り台

                
                桜の実↑

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