2015年6月24日水曜日
団塊俳人新作8句競詠「俳句・7月号」・・・
「俳句」7月号は特別企画[座談会団塊トリオが語る「俳句未来」高野ムツオ・西村和子・岩岡中正]、また、団塊俳人・新作競詠として愚生を入れて18人。
急速に超高齢化社会を迎えつつある日本の現状からすれば、団塊世代こそはその元凶というべきなのだが、どうしても望みある未来を語らなければ、雑誌としての晴朗さに欠けるという皮肉な面が無いわけではない。
そして、今はそれぞれの道を歩んでいるとはいえ、若き日、山﨑十生、あざ蓉子、仁平勝、愚生は「豈」同人であり、あった履歴があり、かつ多行の高原耕治は、ともに「未定」同人であった時代もある。また久保純夫も戦無派集団「獣園」の仲間であったことを思うと、作品を寄せた総数18名のうち6人もの俳人、つまり3分の1がごく近しい俳人であった、ということになる。
よくもここまで生きのびたものだ、と思う。
中でも,仁平勝、高原耕治と愚生は師系はなし、かもしくは答えていない。師事したに近い先輩俳人はおのおのいたと思うのだが、どうやら、ついに、師という存在そのものを、まるごと抱え込むような関係に恵まれなかった、ということになるのかも知れない。他の俳人はいわば、みなさん主人持ちである(少し羨ましい気持ちもないではない)。
ともあれ、ここに俳句の未来があるかと問われれば、愚生をふくめて、そう明かるくはないグレーな感じの未来だけはあるようである。つまり、未来を語るには、少し老いの方が勝ってきているのだ。大きく開き直って「近頃私は、七十歳からが俳人としての正念場ではないかと思っている」と述べている山﨑十生のみが「百歳の団塊俳人」が目標とうそぶき、清々しい。ともあれ、一人一句をあげておこう。
浮葉とは言へども力みなぎれり 山﨑十生
夏帽子行く先々の水の音 あざ蓉子
死者生者闇をへだちて蟇 橋本榮治
千年藤夜は千年の闇を抱く 名村早智子
薄曇りつつ日の射すや蛇の衣 原 雅子
てんと虫はなれて遊ぶ子のひとり 細谷喨々
たらたらと水蜜桃を垂らす夜も 大竹多可志
虹の屍(し)は石棺に容れ横たえる 高岡 修
朴の花挿してまぎれもなき山気 辻恵美子
集団的などてすめろぎのぞまず夏 大井恒行
二人てふ気まづき間あり青林檎 柴田佐知子
浅草で得し陶枕の夢のいろ 徳田千鶴子
歩行者に天国があり夏来る 仁平 勝
ゴールデンウィークひと日を考える葦に 伊藤伊那男
母逝く
息をせぬ静けさむつと夜の百合 山田真砂年
絶倫や櫻の術が満ちており 久保純夫
をろがみ畏るる
無窮の絶巓
無間の淵に
懸かれる虹 高原耕治
敬仰の波郷大足南風吹く 能村研三
カラスウリ↑
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