2015年7月23日木曜日
谷佳紀「きれいなあなた腹の底から雪を話す」(「碧」第8集)・・・
「碧」8は海程神奈川合同句集2015(発行人・木村和彦)である。隔年の発行という。「海程」の地方支部はなかなか活発に俳句活動をしているのだろう。たしか北陸には「狼」という活きの良い雑誌も出されているように思う。
また、「海程」本誌7月号には、「海程」の同人でもない「豈」の筑紫磐井著『戦後俳句の探究』をめぐって「新詩学の可能性」と題して、岡崎万寿・田中亜美・柳生正名・安西篤の座談会が特集されている。次号8月号にも掲載されるらしい。もっとも金子兜太にほぼ焦点は合わされているのだが、筑紫磐井の論にも忌憚なく問題点が指摘されているので、有意義な内容となっている。
ここでは「碧」の中から、興味の動いた作家の幾人かの作を以下に挙げておきたい。
きつつきの緑陰「終わりのない対話」 大江恒子
ねむりては孔雀の刻(とき)をガラスペン 九堂夜想
平然と海から上がる春の月 木村和彦
天皇皇后月の国旗や偲ばれぬ 小松京華
もう老人なんだからと梅雨の弱い雨 谷 佳紀
ノミシラミ悉皆成仏朧月 佃 悦夫
パチッと叩いてごめん蚊だか何だか 成田輝子
日はこんなにも蓬ありけり 平田 薫
留守の家「蜂います」の札吊しおく 三木冬子
猫すーっと月下美人のうしろにいる 森田緑郎
癌よ/Butterflyとして/冰らんか 游 火
余談になるが、かつて「碧の会」という、今は亡き多賀芳子の自宅(澁谷)で行われてい句会があった。何度か「来なさいよ!」と命令調だったがお誘いを受け、そこで多くの先輩俳人にお会いした。谷佳紀もそのうちの一人だった。さらに森田緑郎、原万三寿、小泉飛鳥雄、渋川京子、田村みどりなど多くの俳人にお会いした。
有難い思い出だ。
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