2015年7月24日金曜日

大石香代子「稲の花神も遺骨も柱なり」(『鳥風』)・・・



『鳥風』(ふらんす堂)は『雑華』(牧羊社)、『磊落』(ふらんす堂)に続く大石香代子の第三句集。平成14年から25年秋までの句から396句選んだという。
印象では後半の句のほうが良い。それを小川軽舟は帯文に「春惜しむ店の机にもの書いて」の句を引いたのちに、以下のように記している。

 香代子さんの句はどれもなつかしく、ほのかに寂しい。いつか失う予感を孕んでいるからだろう。だから一層なつかしい。家業の和菓子屋の机から顔を上げた香代子さんの行く道は、この句集から始まっている。

この始まった道の行く方にどのような句境がさらに開けるのか、楽しみではある。
愚生の献句とさらに好みの句をいくつか挙げておこう。

  大石に鳥風かおる代もあらね     恒行

  きはやかに夢見てよりの春の風邪   香代子
  蝸牛山巓の気と雲とあふ
  鳥雲に入ると帽子の中也かな
  春浅し水辺の鳥と樹の鳥と
  うすらひに塵泥(ちりひぢ)のあるさみしさよ
  地の鳩の何にせはしき花の昼
  蝶生まる文字はことばの影ならむ
  雪加鳴く割れてするどき石の稜(かど)
  九段坂下冬青空を鳥礫



  

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