「合歓」(平成4年創刊、代表・久々湊盈子)第70号は創刊23年の記念号である。各同人の写真・略歴・短歌10首が各ページに掲載されている。
掲出の歌は、ページをめくっているときに、ふと、眼に飛び込んできた歌だ。
作者佐藤房枝は、千葉県にお住まい、大正12年生まれ、長崎県生まれ、である。
「合歓」には、毎号楽しみにしているインタビュー記事が載る。今号は伊藤一彦、愚生が若いころ、ひそかに「月光の伊藤一彦」と思っていた歌人で、若山牧水の顕彰にもつとめている。久々湊盈子が宮崎県まで訪ねての「伊藤一彦さんに聞く」インタビューだった。伊藤一彦がさまざまな活動をしていることも知ることができた。今年の「短歌」4月号に掲載された歌についても語られている。
うらうらに春日照らむや三十年後の戦後百年に雲雀のあがり 一彦
石勘當いくつも立てり戦時中に沖縄ゆ移り住みし人多く
六十年見捨てられゐつ「福竜丸」以外の被曝者一万人は
門外漢の愚生には、加藤英彦(同人誌Es)「仙人掌の花はひらいたかー久々湊盈子作品ノート」の論考も久々湊盈子の相貌を窺うにはありがたかった。
いずくにかまだわれを待つ人ありとたわけた夢が女にはある 盈子『あらばしり』
おまえを生んだ四月の朝の晴朗を忘れずにおくこの母だけは
音たてて国が変わるということのまさかに大き仙人掌の花 『風羅集』
招待作品は米川千嘉子(かりん)「炎天」。
炎天はもつともふかく悼むひと八月六日無人の街に 千嘉子
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