2016年1月1日金曜日
穴井太「初御空ハナハトマメの行方かな」(『穴井太全句集』)・・・
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
『穴井太全句集』(天籟俳句会)が「天籟通信」創刊50周年、600号記念出版として刊行された。
穴井太の句業の全体を知るには好著となろう。
穴井太は昭和元(1926)年大分県に生まれた。1954年横山白虹に師事、56年「未来派」を創刊、63年に「海程」に同人参加。65年「天籟通信」を創刊。1997(平成9)年没、享年71。
愚生が最初に穴井太の句集を手にしたのは、『ゆうひ領』(牧羊社・1974年刊)で既刊句集『鶏と鳩と夕焼と』『私版・短詩型文学全書穴井太集』『土語』などを加えた第四句集である。偶然に吉祥寺駅ビルの書店の棚で手にした。その句集も今は手元にはない。その『ゆうひ領』の句、
ゆうやけこやけだれもかからぬ草の罠 太
を愛唱した。
その後、愚生がまだ40歳代後半の頃、現代俳句協会の総会前に行われる幹事会などでわずか数回だと思うが、お会いし、太亡き後も「天籟通信」の恵送の恩に預かっている。
以下に穴井太の正月の句と合わせて、いくつかを記しておこう。
元日や用なきものを慈しむ
鏡餅ちいさくなりぬ戦後かな
あの世には桃太郎がいる初日かな
まず重湯すすりて一日清閑に
吉良常となづけし鶏は孤独らし
すきまよりタンポポ生えるあらゆるすきま
夜は花びらのように来る雪狐
孵らざる卵を抱く夕ぐれ二階
生きていたい生きたいというあつい舌
鳥帰る河馬は少しくももいろに
立春の大吉なりや妻逝けり
生も死も混みあっている蛍の夜
ベットに届く陽をすくいあげ三ヶ日 (絶句)
愚生の本年初句を献上する。
初御空うるうの申の日や高く 恒行
アオキ↑
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