『写俳亭の書写句文集「梅」』(青群俳句会)は、伊丹三樹彦の書と写真とエッセイをまとめてシリーズ化されている掌にほどよく収まる一冊。しかも以下の前書に記されているように96歳翁の解説のすべてが書下ろしだというから、いつもながら驚嘆する。病から復活しての衰えるどころか、噴出するエネルギー、気力、筆力にはビックリ・ポンである。
写俳亭の書写句文集も続編になった。書名の愛称は「梅」となった。編者の村元武が名付けた。私は「沙羅」を望んだが、二文字は駄目と斥けられた。で「梅」になった。私の生地である伊丹で柿衞文庫を生んだ岡田家では、保存が良く、来館者を招きもする。春は盆梅展が行われる。土間に縁先にと私たちは見て廻る。柿衞文庫と隣り合っているから東西の俳人が訪ねて来る。(中略)
柿衞文庫は専門の学芸員も居るが、大阪俳句史研究会も設置され、宇多喜代子や坪内稔典らが指導する。さて、本書の写頁の解説はすべて書下ろした。調べもせずに、私の脳裏にある記憶に頼った。人名地名の誤りも生じて名筆の上野賀山書を村上翔雲と誤記して了った。で、その翔雲書の写真を、名筆会を継いだ井上祥山に提供して貰った。
・書の章より
ふんぷん ひんぴん ひんぴん ふんぷん 花吹雪 三樹彦
沙羅仰ぐ この世の顎のだるきまで
いつも誰かが起きて灯して落葉の家
・写の章より
わ
れも救命胴着 十三塔まで鉄舟架け
輪の連衆 軍属たりし姫路の縁
土鈴焼く火から武蔵の早紅葉
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