「樹」(TACHIKI)には、瀧春樹の意気込みが詰まった俳誌である。長期にわたる企画連載に読み応えがある。まだまだ若い?愚生なんぞでも、年齢を少し重ねただけで、活字の小さいのを見ると読む気力を失うだらしなさがある。そんなことを言っていては叱り飛ばされそうだ。どうやら瀧春樹は喜寿のようで、にも関わらず十分に若く「老人と呼ぶな」と叱咤しているのだが、それはそこ、世間では立派に喜寿なのだこからこそ、作者はあえて言わずにはいられないのである。
本誌の長期連載の企画で注目に値するのは、「特集・東日本大震災を詠む(60)」。同人諸氏が詠み継いで60回になるのだ。ということは、大震災から5年、その直後から毎月詠まれ続けられたことになる。その持続する雑誌の意思、力に頭が下がる思いがする。
リンゴですセシウム検査パスしてます 依田しず子(「樹」287号)
仮の家に慣れることなし虎落笛 藤崎由希子
鵙の贄乾く津波の沖睨み 瀧 春樹
みちのくの闇より黒き寒さかな 中野忠清
その他、連載ものでは、寄稿に伊丹三樹彦の作品が毎月60句も70句も発表されていることだ。病より復帰して、金子兜太に並ぶ長寿でかつ元気いっぱいだ。
飛び撥ねてばかりの曾孫 わらべ唄 三樹彦
また、依田しず子「
石橋秀野の句・おしず流気儘読み」も64回、鍬塚聡子の
作品展望「悪のススメ」279回も活きがいい。
0 件のコメント:
コメントを投稿