2016年3月11日金曜日
大木俊秀「一番好きな人から風邪をもらいけり」(『俳句の気持』)・・・
「もし、俳句は川柳より高級であるとお考えの方がおられたら、その認識はぜひ、改めていただきたいと思います」(津髙里永子『俳句の気持』深夜叢書社)。
本著を紹介するのには手っ取り早く「はじめに」の冒頭を以下に引用するのが、もっともいい。
本書は俳句の入門書、ではありません。「作りたいとき」「作れないとき」「作らないとき」の三章にわけて掲載しましたが、厳密に順を追っての内容にはなっていませんので、どこからでも、読みたいところだけでも読めるようになっています。
というわけで、愚生も、パラパラとめくったぺージに「川柳のような俳句?」に行き当たったのだ。また、「あとがき」によると、NHK学園俳句講座の機関誌「俳句」に平成8年4月、88号から平成26年12月、195号冬号まで107回連載した「俳句・はじめの一歩」をもとにしているという。仕事上で付き合った俳人たちのエピソードも多く、なかなかに楽しめる。例えば、最後に置かれた「同じ気持になれるとき」では鈴木六林男とその師・西東三鬼のことでは、
鈴木六林男がその昔、西東三鬼と歩いていて電車に乗り遅れそうにになったので走ろうとしたら、三鬼さんに「急いだら何か、いいことあるのかね」と聞かれたそうです。「なんにもない」「それじゃあ、走るな」「それもそうやね」・・・。
確かに、そう思える。かくいう鈴木六林男は、ビールを猪口で飲む癖があったような・・・まわりが早いでぇ~と言いながら。
大木俊秀(おおき・しゅんしゅう)に敬意を表して、以下の句を本著より孫引きさせてもらおう。
満天の星が見ていた流れ星 大木俊秀『満天』
ススキ対アワダチソウの関ケ原
蛇穴を出ると取られる消費税
盃に散る花びらも酒が好き
貴女には何よりマスクが似合う
それにしても、いわゆる季語がキチンと入っているので、有季俳句じゃありませんか・・。川柳は言葉使いが俳句より自由だから、ちょっとうらやましい。
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