2016年5月15日日曜日
和田耕三郎「凍月に街は吸はるるごとくなる」(「OPUS」第46号)・・・
「OPUS俳句会」の代表・和田耕三郎には、随分な年月をお会いしていない。若き日、彼は『水瓶座』という句集で青春性に富む句群でデビューを果たした。
部屋に螢とばしひとりの祭かな 耕三郎
愚生より、かなり若いと思っていたが、この歳になってみると、その若かった彼も還暦を過ぎてしまっているようだ。いまだに律儀に「OPUS」を贈って下さっている。そのお礼もしたためたことがない怠惰を詫びたい心持だ。
以下に各同人の一人一句を、
涙ふと土の味して冬深し 和田耕三郎
どくだみのつぼみは白くちいさな火 しなだしん
コンビニの灯に纏ひつく春しぐれ 池部月女
春昼やキャップの失せし花鋏 上野みのり
元日や祖父母祖父子らの靴 数間良寛
懸想文わろきことほどおもしろく 亀割 潔
眠る児に宝もの降る春の星 北岡ゆみ
空の青海の青さよ流し雛 北畑みち代
若水をこぼすつくばひ竹真青 木村弥生
一椀を一枚にして海苔を干す 桐原淑式
七草を探し屋敷をひと巡り 黒澤登与
いびつなる建物のあり春夕焼 斉藤かずこ
ハンガーの鳥の巣濡るるクリスマス 坂本 登
春浅し棚に手擦れの福音書 たかはしさよこ
大玻璃のひとりに余る冬日差 辻 多恵
春大根花は紅色十文字 日置久子
魚屋の魚もあるじも寒に入る 宮崎静枝
石段の薄きを辿る梅の花 宮崎夕美
井戸のみの美術館跡初しぐれ 和田ゑみこ
八十八寺の写真を開く空海忌 渡部陽子
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