「俳句人」NO.664(新俳句人連盟)は「平和特集「2016・憲法が危ない」である。特別寄稿に石寒太、筑紫磐井、衣川次郎、田中亜美が句とエッセイを執筆している。
時評「青い空から誰が、何を」の田中千恵子は、松尾あつゆき「
なにもかもなくした手に四枚の爆死証明」の句を冒頭に掲げたのち、最後に以下のように結んでいる。
広島の原爆ドームを背にして、安倍首相はオバマ大統領と共に、「核なき世界を必ず実現する」と誓ったはずだ。その言葉を空手形にしないでほしい。私たち俳人は、二度と松尾あつゆきのような慟哭の絶唱を詠いたくない。詠う状況を作ってはならないのだ。
明日は敗戦忌である。平和な生活こそが希望を得ることのできる礎なのだ。あらためてその困難な実現に思いをいたしたい。
以下に平和特集の句を掲げておきたい。
春の月またも原発再稼働 石 寒太
戦争に美学と違ふ大義あり 筑紫磐井
国家てふ屋根石重しデイゴ咲く 衣川次郎
白靴もハンカチも無く敗戦忌 田中亜美
軍事基地囲むたんぽぽ坩堝なす 入江勉人
B29無人機となる積乱雲 近吉三男
とんぼ死す目玉に映る核の雨 柚田重代
咲く薔薇の真中にある第九条 丹生幸美
エプロンを丸め街宣夕焼くる 菅谷かしこ
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