大木あまり第6句集『遊星』(ふらんす堂)、「
およそ二〇〇一年から二〇一五年の冬までの四〇七句を収録。大胆な割には、いつも迷い混沌としている私には『迷星』のほうが合っているのだが、公私ともに辛いことがあった歳月の中で、なるべく遊び心を失わず自在に作句してきたので、句集名を『遊星』とした」(あとがき)とある。
大木あまりの句に、熱心でないにしても、これまで、それなりに読ませてもらってきたが、本集には国を憂うる句が、また只今の日本国に対する句が意外にも多く愚生の目に刺さってきたのだ。それは共感のできる姿勢だった。愚生の中の大木あまり像にいささかの変化をもたらした。
というわけで、いくつかの句を挙げておきたい。
栗鼠が屋根走る憲法記念の日 あまり
国憂ひ夜濯の水鳴らしけり
ハチ公のまだ待つてゐる終戦日
軍港は芥だまりや冬の鳥
十二月八日茶碗の渋をおとせども
ひんやりと腰の湿布や開戦日
鳴きもせず日本の空を鳥帰る
寒風やあれは抗議の白テント
戦なき国に基地あり春の雷
雛の頬白く固しや国病めり
また、忌日の句に、
振り向かず蛇は水辺へ重信忌
日除して疾走の船修司の忌
愚生イチオシの句は、
死は一字夢も一字や野鵐(のじこ)
鳴く
大木あまり、1941年東京目白生まれ。
ゴーヤ↑
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