2017年7月24日月曜日
武藤幹「木下闇我らが無為を包みけり」(第169回遊句会)・・
数ヶ月前から「遊句会」に参加させてもらっている。きっかけは、40年ほど以前に知り合ったシャンソン歌手の石原友夫から、先師の坂東孫太郎(源五郎とも。本名・輝一)が亡くなって3年半、俳句の専門家がいないので、俳句を作る仲間としてちょっと覗いてくれないかと、持ちかけられたからだ。それにしても、坂東孫太郎の没後、一周忌には遺句集『坂東孫太郎句集』(遊句会篇)を出し、その後も指導的な主宰者をおかず、句会が続けられて来たというのだから立派なものである(句会報も出されている)。
参加してみて、「一杯やりながら、わいわいやりましょう」の遊句会が、実は、いまだに伝統的な句会の作法を維持していることに少し驚いたのである。それは、句会の方法が、現在、ほとんどの句会では、投句された句を清記したコピーが回ってきて、選句をするという具合に変ってきているのだが、この遊句会は、今なお一杯やりながら、各人三句を清記し、清記を回し、気に入った句をメモし、選句用紙に選句をし、披講し、句を選ばれた者は、名乗り、点盛りをしながら、「いただきました」と点盛りの発声をする。 このような市井の句会にこそ、俳句の伝統的な作法がいまだに生きているのだと少なからず感動したのだった。
愚生はといえば、相変わらず、どこの句会に行っても低空飛行であることは言うをまたない。
ともあれ、以下に当日、7月20日(木)、遊句会の一人一句を挙げておきたい。兼題は青柿・木下闇・晩夏だった。
白球を吸い込みし空はや晩夏 渡辺 保
引く波と浜の葦簀(よしず)や晩夏光 武藤 幹
青柿の落ちてさずかる己が影 たなべきよみ
青柿や逆上がりする子らたわわ 石原友夫
青柿の葉に隠れるも処世かな 植松隆一郎
大波を待つサーファーや晩夏光 石川耕治
君を撒く白き航跡晩夏光 川島紘一
シネマ終え六区に零(こぼ)るる晩夏光 橋本 明
オトコ右オンナ左へ晩夏かな 山田浩明
逆光の晩夏の富士のよごれ雪 石飛公也
青柿や息子はやっと係長 中山よしこ
晩夏この激しき雨を共に濡れ 大井恒行
以下は欠席投句より
青柿や首を縦には振らぬ女(ひと) 林 桂子
どぅうどぅると海泣きおりて晩夏かな 原島なほみ
宿題に追われる子らの晩夏かな 加藤智也
因みに、次回の兼題は、盆踊り・無花果・秋めく、当季雑詠。於・たい乃屋。
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