2018年2月12日月曜日
宮本佳世乃「ふくろふのまんなかに木の虛のある」(「オルガン」12号)・・・
「オルガン」第12号には、いつもながら興味深い記事が載っている。今号も外山一機と福田若之の対談、浅沼璞と柳本々々の往復書簡「字数の問題をめぐって(卷3)」、特集は、「田中惣一郎『一日泡影』を読む」や連句興行など・・。
外山一機と福田若之の対談はとりあえず、現在の若い俳人がどのような意識で俳句に向かうとしているのかが、伺えて、実に面白いものだった。発言の微妙なニュアンスもあるので、興味ある方は、直接本誌に当たられるのがよいだろう。なかでは、福田若之の以下の発言にその真摯さが貴重なもののように思えた。
とにかく、俳句表現史を経て獲得されるのは、結局のところ、他の誰かよりも新しいというような新しさでしかないけれど、そうじゃなくて、誰とも比べることができないがゆえに鮮しいという、そういうところに僕は行き続けたいと思うんです。
もっとも、始終挑発的に発言し続けているのは外山一機で、それに対して福田若之が誠実に答えるという印象だったが、それでも外山一幾の書く批評文の分かりづらいところの在処については幾分なりとも正直に発言していたように思う。気になった点といえば、しばしば「『鬣』の人たち」という物言いがでてくるのだが、一機自身が「鬣」同人なのではないか、と、つい突っ込みを入れたくなるのは、愚生がいくばくか歳を取り過ぎているせいなのだろうか。
ともあれ、以下に宮本佳世乃の「祝・現代俳句新人賞」の歌仙「まんなかに」の卷(捌・浅沼璞)のオモテ六句、ウラ二句までを引用し、同人の一人一句を挙げておきたい。
歌仙「まんなかに」の卷
ふくろふのまんなかに木の虛のある 宮本佳世乃
みみは奥までぬける凩 浅沼 璞
風流の初いねがてなほうたひ 福田若之
碑が文字かくもやはらか 鴇田智哉
船べりに月さしひとり女の子 宮﨑莉々香
港に親のふえる十月 田島健一
ゥ
トイレットペーパーすーつと晩秋へ 北野抜け芝
ペリエの壜の指紋みつめて 大塚 凱
葉を偸む死にいちだんと綺麗な葉 田島健一
旅客機のまるごと消えて冬のくれ 鴇田智哉
鯨、可能性から解き放たれて青空 福田若之
ブーツが汝が地下鉄に花束が我が 宮﨑莉々香
一頭の吊るされてゐる空ッ風 宮本佳世乃
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