2018年3月25日日曜日
小池正博「減らそうとしても首にはひかりごけ」(「川柳スパイラル」第2号)・・
「川柳スパイラル」第2号の最初の扉には、
鶴は折りたたまれて一輪挿しに 飯島章友
の句と入交佐紀の写真(一輪の花)が載っている。その扉裏に小池正博の緒言「渦の成長」があり、結びには、
創刊号以後、東京句会、京都句会、文フリ京都への出店と活動を続けてきた。雑誌の発行が自己目的になるのではなく、句会やイベントと連動させながら現代川柳を発信できれば嬉しい。渦は放っておけば自然に大きくなるというものではなく、常にエネルギーを送り続けなければ消えてしまう。できるだけ冒険をしてゆきたいので、渦の成長を見守っていただければ幸いである。
と記されている。愚生には、現代川柳の在処、その言葉使いの自由度、先鋭さによく理解が届かないけれど、見続けることぐらいはまだできそうだ。飯島章友は『俳誌要覧』(東京四季出版)にも「俳文学の現在〈川柳〉」で「平成川柳の終焉と次代の息吹」と題して、愚生などにもじつに判り易く川柳の現在の在り様に健筆をふるっていた。そこでは、愚生の知る墨作二郎、矢本大雪、渡辺隆夫、海地大波の各氏の逝去にも触れられていた。改めてご冥福を祈りたい。
本号のゲスト作品として、我妻俊樹、中山奈々、平岡直子、平田有の川柳作品各10句が掲げられていたが、ここでは同人作品一人一句を以下に挙げておきたい。
あご先をそっとのせれば地平線 畑 美樹
「俺こっちいくわ」でちりぢりの鳥 柳本々々
丸見えのかわゆいの天の邪鬼 一戸涼子
ふゆがれのかかとの和音聴いている 飯島章友
異なものを咥えこの世へ舞い戻る 浪越靖政
音の海へとひらく開かずの間 川合大祐
作戦は三本立ての胡蝶蘭 悠とし子
陣痛が陣頭にある冬の陣 小池正博
歴史教科書は寸胴で煮込まれて 湊 圭史
意志を外すと換気扇 石田柊馬
契約を迫るはじめの永久歯 兵頭全郎
湯葉すくう「ほら概念は襲うだろ」 清水かおり
撮影・葛城綾呂 杏の花↑
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