2018年4月21日土曜日
宮入聖「噴水とまりあらがねの鶴歩み出す」(「つぐみ」NO.177号より)・・
「つぐみ」2018.4月号、NO.177(俳句集団つぐみ)の「風のあんない(73)-わたしの好きな句ー」に関朱門が宮入聖の句について書いている。その句がブログタイトルにあげた「噴水とまり」の句である。そのエッセイの末尾近くに、
あくまでもフィクション。しかし、噴水の止まった世界の奥にあるものが何かを言い当てている。四十歳になりたての俳句初心者の私は、シュールレアリズムの世界へのあこがれもあり、いっぺんに魅了されてしまった。「本当っぽい嘘、嘘っぽい本当」が本質に迫ることを教えてくれた一句。
ほかに『聖母帖』より
蜀葵母があの世に懸けしもの
月の姦日の嬲や蓮枯れて後
もう一つ、葉書一枚に記されいる通信、山内将史の「宮入聖という俳句」60/2018年4月18日を以下に紹介しておきたい。それには、
涼しさの入墨を出る白狐かな 宮入聖『鐘馗沼』
名人の描いた動物が絵から抜け出るという話はよくある。宮入聖にも他に「襖絵を獅子が出てゆく死後の月(『千年』)がある。「死後の月」なんて書いてみたい時期が宮入聖にもあった。(中略)掲句は白い色とか血とかいった生々しい描写ではなく空想的な世界だろう。一陣の風のように入墨から白狐が抜け出てゆく。水墨画か、水墨画風のアニメーションのような味わいがある。
宮入聖にはいまだに隠れたファンがいるようである。
話題を「つぐみ」誌にもどして、同号には外山一機の連載「『歩行』の俳句史(3)ー飯田蛇笏の「歩く」、龍太の「歩く」」、鶴巻ちしろの連載「鶴巻ちしろの折文箱(32)」と興味深い論とエッセイが掲載されいる。
そういえば、宮入聖に『飯田蛇笏』の一本があった。
ともあれ、「つぐみ」同号よりいくつかの作品を挙げておこう。
まんさくや風のマントの透きとほり 司 雪絵
先生の死後と花粉とくしゃみです 谷 佳紀
兜太睡る秩父の里に繭こぼれ 寺口成美
巨星墜つ春一番を待たずして 津野丘陽
土に生れ土愛でし翁よ青鮫来たぞ 井上広美
撮影・葛城綾呂 ↑
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