2018年10月7日日曜日
佐藤榮市「白桜ゆ降下してくる虫である」(「垂人」34より)・・
「垂人(たると)」34(編集発行、中西ひろ美・広瀬ちえみ)、編集後記によると、「垂人」の節句人形の表紙について、
この時期になぜと思われることでしょう。
この写真は、垂人の仲間で、去る五月に亡くなられた佐藤榮市さんが撮影したものです。一昨年の冬に雪を見る旅をしたとき、(たぶん米坂線)が雪で電車が止まってしまい降りることを余儀なくされた町で見つけたお雛様でしょう。男雛は威張っているようでひょうきんで、それにくらべて女雛は首を傾げ恥しそうに不安そうに並んでいるのがユーモラスです。榮市さんの心を捉えた郷土雛のその写真はひろ美さんから私へと回り、時期が合う時に使おうと考えていました。榮市さんに見せてあげられなかったのが残念です。
とあった。ブログタイトルにした句は「贋胡蝶ー降下してくる」(被御免夕㒵亭老人謹附句)の発句である。たしかに、本誌のいたるところに佐藤榮市を悼む句があって、さながら佐藤榮市追悼号のさまである。
あとひとつ、今泉康弘「連句について考えている二、三の事柄ーまたは、私は如何にして連句を愛するようになったか」は、今泉康弘の気持ちが、けっこう包み隠さず書かれていて、興味深かった。
ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。
お別れのトルコキキョウ冷たいですか 中西ひろ美
羽蟻とぶカフカ絶望してゐしか 川村研治
スウェーデンのねずみはしっぽまで黄色 髙橋かづき
佐藤はまたひとりで帰ってしまった 中内火星
早苗月の天使のはしご上られよ 渡辺信明
この蛙もう死なないよ鳴かないよ ますださなみ
とろりとろとろかげろふむしよく ますだかも
寄り合ってもしもの話ひつじ草 広瀬ちえみ
鈴木純一 ↑
フラミンゴキ(忌)イは榮市最後の詩集だった・・・
フラミンゴ一本足で春見つめ 大沢 然
空蝉を車輪が轢くは古来稀 野口 裕
エーチャンと書けばメールのやりとりも楽しくなりしちえみとひろ美
中西ひろ美
撮影・葛城綾呂 アガサンパス↑
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