守屋明俊第四句集『象潟食堂』(角川書店)、集名に因む句は、
象潟食堂
象潟や蕎麦にたつぷり菊の花 明俊
だろう。著者「あとがき」には、
三十五歳のとき鍵和田秞子先生に師事。鍵和田門の自由闊達に学べる雰囲気の中で、一つの狭い世界に閉じ籠ることなく、自分にしか詠めない世界を見つけられるよう努めてきた。これからも一日一日を大切に、好奇心を忘れず、心のままに大好きな俳句を詠んでいきたいと思う。
とある。 集中に、
成蹊学園
草田男句碑富士も太初の雪重ね
の句があるが、愚生は、吉祥寺の成蹊学園に草田男句碑「
空は太初の青さ妻より林檎受く」が建立され(成蹊学園創立100年記念事業)、そのお披露目のときに、伺った記憶がある。従って、この句は、草田男の句を本歌にしている。その除幕式には、京都から竹中宏が駆けつけていた。もちろん、鍵和田秞子もいた。ともあれ、集中よりいくつかの句を挙げておきたい。
象潟の橋は丹の橋葛の花
浅川マキ 新宿ピットイン公演
年の夜の「またねえー」と貴女凍てるなよ
鳴きあぐね落ちあぐね蟬一休み
漕げないと思つてゐたぶらんこ
ぶらんこを漕げば漕げたり空親し
年寄りに持たすと乱射水鉄砲
蟷螂と見えしは菜屑秋時雨
盆の月炭坑節は堀り続け
非力返上柿の荷の釘を抜く
家を出て家忘れたり蛍狩
竹節虫(ななふし)
は竹節虫なりに秋の色
セル二アス・モンク生誕百年
ジャズと自由今も孤高の流れ星
守屋明俊(もりや・あきとし) 昭和25年、信州伊那高遠生まれ。
撮影・染々亭呆人 ↑
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