一昨日、2月15日(土)は第10回「ことごと句会」だった。会場は、ルノアール新宿区役所通り、入口のドアには、例の新型コロナウイルスの感染防止のためにマスクを着用させています、という貼り紙がされていた。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。雑詠3句、プラス席題の一句は「力」。
青空が湧き出る木蓮の蛇口 江良純雄
先駆ける 梅一輪の知力かな 武藤 幹
地震以後海に傾く雪椿 渡邊樹音
蟬氷なるべく力ぬいて生く 金田一剛
路地裏を猫背の男寒卵 照井三余
かたちないものもくずれるないの春 大井恒行
★閑話休題・・照井三余「合掌の隙間から又同じ冬」(「ことごと句」創刊第一号)・・
俳句同人誌「ことごと句」創刊第一号(ことごと句会事務局発行)、編集後記には、「夢座」が経年変化をし一旦解散したのち、令和元(2019)年五月にできた同人俳句会で、代表は、照井三余と渡邊樹音の共同代表、「ことごと句誌」編集長は、銀畑二改め、金田一剛が務めるとあった。とはいえ、「夢座」から、引き続いて、現俳句界きっての論客2名、齋藤愼爾と江里昭彦両名が健筆をふるっている。まずは齋藤愼爾「いま、俳句は/令和俳壇管見」の結語を引用したい。朝日俳壇は金子兜太亡き後、高山れおな氏が新選者となった。氏は〈麿、変?〉(まろ、へん?)という二文字俳句の作者だ。決定するまでの波瀾万丈が少しずつ漏れてくる。高山氏を推したとおぼしき朝日俳壇の記者は別の部署へ配属というミステリー。果たして高山氏の選は他の選者と同じ句を選ぶことがあるか。私はまたも、「いや、一ヶ月かそこらで共選するよ」と予言した。共選どころか、四人選者中、三人が共選という朝日俳壇始まってのことも数回(・・)。汀子さん?めでたく高山れおなと共選です!それも早や三回も!(・・・・・)さすがの私も絶句です。
わたしは廃人を自称するのをやめて、予言者とします。(次回へ)
そして、江里昭彦は、【昭彦の直球・曲球・危険球】51「兜太が覇者であった時代の俳句(其の一、其の二)で、
ところで、群雄割拠の時代がつづき、それは常態化していた俳壇だが、ぽつりぽつりと戦後俳句の旗手たちが世を去り、気がついてみると、長寿の兜太一人天下になっていた。近現代史において、兜太は、虚子につづく二番目の覇者とみなすことができる。
ところがである、戦前の覇者たる虚子は専制支配を敷いたけれど、兜太はまるで違う。多元化が構造として定着した現代では、なにびとも、虚子が行ったような専制支配は不可能なのである。(中略)
時代としてどちらが健全か、答えははっきりしている。いかに傑出した文学者であれ、その発言や理論が絶対視される時代は御免こうむりたい。そうした文学者は、たやすく国家権力と合体し、抑圧と強制の支配を行うであろうから。兜太はそれを徹底的に嫌った。(・・・前半はここまで)
と述べている。ともあれ、一人一句を挙げておこう。
避難所に柿剥く人や正座して 武藤 幹
白黒の写真の金魚真っ赤なり たなべきよみ
スマホさくさくオゾンホールさくさく 江良純雄
ajisaiをaisaiと打ち七変化 金田一剛
ことごとく水の先まで夏疲れ 照井三余
潮騒の揺りかご星に手が届く 渡邊樹音
問い返す鳥子の春のかすみぶり 大井恒行
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