「阿部青鞋研究」特別号(北千住出版・発行 妹尾健太郎)は阿部青鞋忌(2月5日)にちなむ「青鞋忌作品集」である。コンビニのネットプリントとやらで、全国どこでも印刷可能だという。そのネットプリントえお折り本にしてくれたのだ。44名の方が詠んでいる。「後記」には、青鞋の生涯を二つのサンドイッチに見立て、
一つは〈時間〉のサンドイッチ、薄いながらもその両サイドをしっかり形成するパンの部分が「大正」と「平成」、中央でどっしりと豊潤な具に満たされている部分が「昭和」である。
同様に〈空間〉サンドイッチを描けば「東京」「岡山県美作」「東京」となる。
青鞋さんの逝去から三十一年、句碑も全句集も、流通する作品集すらない俳人の忌日に寄せる一句をごく短期間にツイッターで募った結果がこのネプリ版である。
とある。そのなかから、愚生の知人を含めていくつか紹介しておきたい。
両端に天と地をおく冬の虹 小川蝸歩
梅一輪持ち来た人に父語る 麗女(青鞋三女・中川専子)
心音は我をはなれず青鞋忌 遠山陽子
尻拭きの短き夜なり青鞋忌 なかやまなな
全円となる地平線 われら星 堀本 吟
好奇心は小屋を建てたよ青鞋忌 赤野四羽
ビニル傘透かし青鞋忌と思ふ 西川火尖
四海波平らかに美人にあらずよその妻 筑紫磐井
燭(ともしび)に幾重も円の見ゆるなり 北川美美
キャベツ剥ぐ手まるき形や青鞋忌 西川由野
はちみつのなかいつしんにかたつむり 黒岩徳将
火を水のまぶたにこぼす青鞋忌 妹尾健太郎
青鞋忌洗いざらしの冬の蝶 大井恒行
阿部青草鞋(あべ・せいあい)、東京渋谷生まれ。1914(大正3)年11月7日~1989(平成元)年2月5日。
★閑話休題・・・日本太極拳法一楽庵・出井現兵子 葬儀・・・・
通夜・2月15日18時、告別式・2月16日10時(於:日華斎場/多磨葬祭場)。愚生は、数年前、今は無き府中グリーンプラザの地下音楽室で行われていた太極拳府中一楽会に、健康と運動不足解消などと、楽な気持ちで入門した。その時、すでに現兵子先生は米寿だったように思う。稽古の合間に結構長い話(世間話も含めて)をされて、愚生も老齢ゆえか、その話を楽しみにしてい節がある。また、準備運動のストッレッチなども、一度として、全く同じ繰り返しはなく、毎回、少しでも変化をつけられていた。ときには、童謡を歌いながら、太極拳法の型を稽古をさせられた。二年ほどまえになるだろうか、稽古に出て来られなくなった。細かいことは全く言われなかった。多くは心持、常に体の隅々に意識を・・・だったような気がする。不思議なもので、先生の直接の指導がなくなっても、いつも先生の眼差しがそこにあるような気がしていた。今、直接の師は内田慎一先生で愚生より10歳は若い先生だが、円満な気質と身体の柔軟な強さをもっておられる。ともあれ、現兵子師は、昨年、一楽庵創設50周年を機に、宗家を娘の出井円美子(えんびし)に譲られていた。合掌。享年92。
撮影・鈴木純一 陸羽西線 ↑
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