2022年3月5日土曜日

叶裕「寄る辺なき身よりしぼれる咳ひとつ」(「Picnic」No.5)・・

 


  5・7・5作品集「Picnic」No.5(TARO冠者)、中に「りん句る」というのがある。


 りん句るは、5.7.5をしりとりのように繋いで言葉の万華鏡にしてみたいという野間の願望からスタートしました。

これには簡単なルールしか作らず、次々自在に作品を展開し、知らない世界を覗くのが趣旨です。言語の関係を組みたてる/スピードで閉ざされた扉を開こうとするのは無い物ねだりのようで楽しく、言葉が作り出す世界の大きさ、幼さ、不思議さを目の前に広げる終わりのない、遠近のない、船の旅の冒険のようです。


 とあった。基本は、5.7.5であること、前の人の作品から文字を使用する。しりとりではないから、繋ぐ意味で、「LINK句=りん句る」と名づけたという。一例を挙げると(太字が、直前の句から使った言葉)、


(前略) 月らが光にかわる下かな    野間幸恵

     女もぐる断黒くかがやいて   鈴木茂雄

     面積を奏でる落葉の残りけり    野間幸恵


 ともあれ、本集より一人一句を挙げておこう。

  

  にんげんにまだあるにんじんの素顔    木村オサム

  土瓶からボヘミアまでの伽藍堂       月波与生

  石並べ大和の国は月夜かな        中村美津江

  運慶快慶つゆあけの金平糖         妹尾 凛

  寒相撲張り手の音の遠くから         叶 裕

  寒ゆるむ手のうちにある丁と半      木下真理子

  針のない時計にはもう慣れました      榊 陽子

  エレベーター定員四人咳三人        岡村知昭

  あんのんとのんのんのんと船が出る     松井康子

  空 ぽつぽつと あみだぶつ      あみこうへい

  妄想のつれづれ残る鴨である        石田展子


            

  

★閑話休題・・香月泰男展(於:練馬立美術館、2月6日~3月27日)・・


 生誕100年・香月泰男展・2月6日(日)~3月27日(日)、於:練馬区立美術館(西武池袋線・中村橋駅下車徒歩3分 1Fは貫井図書館・電話03-3577-1821)。

 観覧料相互割引で、石神井公園ふるさと文化館特別展・生誕110年「作家・庄野潤三展 日常という特別」(1月15日~3月13日)。


 愚生から、遠い昔に、香月泰男の絵葉書を送られていたのを思い出した彼、美術館の近くに住んでいるらしい打田峨者んが、わざわざ、チラシを送ってくれた。是非とも行きたいところだが、愚生は事情あって、出るに出られぬ籠の鳥、きっといい展示だと思うので、お近くの方は行かれたい。



       芽夢野うのき「舞うことの叶わぬ草や仏の座」↑

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