2017年3月21日火曜日
望月至高「父を焼き父を畏れて雲に鳥」(『俳句のアジール』)・・
昨日は、望月至高句集『俳句のアジール』(現代企画室)の出版を祝う会が、三宮・スペイン料理店カルメンで行われた。カルメン二代目オーナーである大橋愛由等(あゆひと)は詩人であり、俳人でもあり、様々な詩祭や企画もやり、まろうど社という出版社もやるマルチな人だ(写真下は月刊同人詩誌「M’elange」120号)。「豈」「吟遊」の同人でもある。
愚生も実に久しぶりで外の空気にふれるべく日帰り旅で神戸まで出かけたのだ。
会そのものは内輪の会ということで、俳人はごく少数で、本人の望月至高を入れても4人。したがって,そのほかの方々には、初めてお会いする方ばかりだった。
とはいえ、会は俳人ではない出席者にも(事前に強制なしとされながら)、各人が句集から5句ほど選び送り、それがプリントされていた。選句は重なる句が少なく(けっこう珍しいことだ)、各人の人生上の言語体験を反映して、逆に望月至高の句の幅の広さを示すことになり、各人が選んだ理由もそれぞれで興味深いものだった。
愚生の選んだ5句は、愚生の好みに偏しすぎたものだったので、以下には、他の人の選句のなかからいくつかを挙げておこう。
いつからのフランスパンの梅雨湿気 至高
三寒の墓碑と四温の父母の恩
薔薇をもて死美と散華の抒情打つ
サクマドロップもて黄泉へ銀河をローアンドロー
ふるさとの死者をふやせり吾亦紅
国家より花の吹雪くを愛でており
汚染土をはがして大地の油照
梟の飛び立つ闇を愛(かな)しめり
春嵐流民貧民避難民
パンドラの匣の底より”Let it Be”
望月至高(もちづき・しこう)1948年、静岡県生まれ。鈴木六林男最晩年の弟子である。『俳句のアジール』は『辺縁』に続く著者第二句集。現在「六曜」同人。
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